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6 新展示の考え方

 展示改装の基本的な考え方は、前述の「展示見直し基本計画」にほぼ沿って実施されたが、ここでは展示改装に対する考え方について具体的に述べてみたい。

(1)常設展示

 常設展示は、屋内展示においては「テーマ展示」「部門別展示」「企画展示」とすることにした。

1.テーマ展示

 テーマ展示は、鹿児島の歴史の概略が理解できるように、1.「原始・古代のかごしま」、2.「中世のかごしま」、3.「近世のかごしま」、4.「近・現代のかごしま」の4つの大テーマからなる編年的な展示として1階部分に集約する。

2.部門別展示

 部門別展示は、テーマ展示の内容をさらに深めるための展示とし、歴史、民俗部門は2階、美術・工芸部門は3階に展示することになった。歴史部門は5テーマ、民俗部門は8テーマ、美術・工芸部門は6テーマで構成し、このテーマは将来的にも基本的には変更せず、テーマの範囲で定期的に一部ずつ展示替えを行う方針を立てた。

3.企画展示

 企画展示は、常設展示場に新しく設けた展示室で行うもので、収蔵資料の有効活用を図るとともに再来館者にも新しい展示を見てもらうという意味から、年に3回程度何らかのテーマを設定して行う予定である。リニューアル時点では、島津斉彬の家老を務めた家柄である末川家からの寄託資料による「周山と末川家資料展」を開催した。なお、観覧料は常設展示の料金に含まれる。

(2)動線計画

 動線計画は、今回の展示改装の中心をなすもので、見学者の多様なニーズに対応できる方向で計画された。テーマ展示と部門別展示をそれぞれ選択できる動線、短時間で展示のポイントを把握し、楽しみながら展示を概観できる動線、興味のある部門だけを見学できる動線など選択性を重視した動線がとれることを念頭に置きながら次のような動線パターンを考えた。

1. 常設展示全部を観覧する動線

  −時間に余裕のある一般コース−
 「テーマ展示」「屋外展示」「2〜3階の部門別展示」
 「体験学習等の無料ゾーン」の全てを観覧する動線

2.「テーマ展示」のみを観覧する動線

  −時間に制限のある団体見学コース−
 「テーマ展示」のみを中心に観覧する動線

3.「部門別展示」を観覧する動線

  −再来館者向けの動線−
 2階の歴史・民俗部門、3階の美術・工芸部門及び
 企画展示を観覧する動線

4.「体験学習室」「情報ライブラリー」等の無料ゾーン

 を観覧する動線
  −資料の情報を得る再来館者向けの動線−
 3階に集中して設置した「体験学習室」「情報ライ
 ブラリー」「映像ライブラリー」「県勢コーナー」を観
 覧する動線

 以上のような基本的動線を計画し、既存の階段、エレベーター、通路を十分利用して、それぞれの動線への導入がスムーズにいくように平面計画を工夫した。しかし、オープン直後はなかなか予定通りに観覧者が動いてくれず、順路を示すサインを増やす等の対策をとった。
 ここで注意しておくことは、動線を自由にするためには展示場の出入口を増やす必要があることである。これは、発券、収札の人員が増えるということであり、当館では委託職員で対応しているが、予算が伴うことでもあり、慎重な検討が必要と思われる。改装に当たっては、自動券売機(4台)を導入し、職員の配置を工夫した。
 テーマ展示における展示の案内・解説については、展示への関心を引き起こすためにシンボル展示として4つの大型模型を作り、大テーマごとに天井から吊り下げたサイン及び時代背景を紹介する映像(約90秒、案内システム)と年表を配置し、中テーマには目立つケース内のサイン、小テーマには写真と文章を組み合わせたパネル、そして実物資料には数種類のサイズのキャプション、さらに後述するパソコンを利用して資料についての情報を提供する展示解説システムを有機的に使って行っている。

(3)色彩計画

 色彩計画では全体的に明るく、温かみのある色彩を基調にして通路や展示室ごとに色彩を使いわけた。第一世代の重厚ではあるがやや暗いイメージの展示に比べ、床材のカーペットタイルの効果とも相まって疲れない、居心地の良い展示と好評である。

(4)照明計画

 照明計画は、色彩計画と関係が深いが、通路部分はやや明るめに、ケース内照明は資料の保存上の問題を考慮して調光装置でやや暗めに設定し、光源としては白熱灯と蛍光灯を組み合わせて使用している。

(5)サイン計画

 サイン計画では、1階のインフォメーションからテーマ展示入口、部門別展示入口、無料ゾーン入口と連続的に観覧者の現在位置がわかる平面図、それぞれの起点では、矢印によって順路を示すサインを設置している。また、禁止事項については絵文字等を使ったサインで表示している。特に写真撮影については、館内で検討した結果、現在のところストロボ使用等で他の観覧者に迷惑をかけることが多いと予想されることを理由に原則的に禁止しているが、今後の検討事項と認識している。

(6)視線計画

 視線計画では、中央動線からは大テーマが見渡せ、そのテーマの中ではコーナー全体が視野に入るように、なるべく視線を遮るものがないように工夫している。展示ケースや展示台の高さは、試作の段階から十分に検討を重ねた。ただ、車イスの場合に展示資料は良く見えるが、キャプションが場所によっては見にくいものがあり、大きさや置く位置を工夫して対応している。

(7)地震対策

 地震対策については、造作工事においては建築的な規準を踏まえ十分な対応が行われているが、それぞれの資料についての対応は、根本的な対応策がなかなかとれないことから、例えば美術・工芸コーナーでは鉛玉を入れた袋やナイロン糸による転倒防止策を取ったにとどまっている。この場合に、展示ケースの床と展示物ないし展示台の摩擦はどの程度あれば良いのか等対応策を考慮して設計に生かしたかったが、時間、予算、展示デザインの問題等から今回の改装では間に合っていない。

 


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