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7 新展示の構成とシナリオ

 分かりやすく・楽しく・親しめる展示を目指した今回の展示改装の構成は、別図に示す通りである。資料を中心に展示する狭い意味での展示に、インフォメーション機能、サロンの設置、再来館者の何回もの利用を図る無料ゾーンの新設等を加味した。

(1)テーマ展示

 テーマ展示は、大テーマ4、中テーマ8、小テーマ27からなり鹿児島の歴史を編年的に概観できるもので、これと鹿児島の歴史の中で特徴的なテーマをとりあげたコラム展示11からなっている。次に、このシナリオの概要を紹介する。

(導入) 鹿児島の自然の一部を紹介するもので、地形模型亜熱帯植物相ジオラマ鍾乳洞ジオラマ等を展示

大テーマ 原始・古代のかごしま
 中テーマ 鹿児島のあけぼの
  小テーマ 旧石器文化
  小テーマ 縄文文化
  小テーマ 弥生文化
  コラム展示 南島の先史文化
 中テーマ 隼人のくに
  小テーマ 古墳文化
  小テーマ 薩摩・大隅のくに
  コラム展示 国分寺
大テーマ 中世のかごしま
 中テーマ 島津氏領国の形成
  小テーマ 島津荘と正八幡宮領
  小テーマ 関東武士の入部と島津氏の発展
  小テーマ 島津氏の三州統一
  小テーマ 九州制覇の夢
  コラム展示 薩南学派の興隆
 中テーマ 外来文化の窓口
  小テーマ 大陸との交易
  小テーマ 鉄砲とキリスト教の伝来
  小テーマ 朝鮮出兵と薩摩焼
  コラム展示 中世の石塔
大テーマ 近世のかごしま
 中テーマ 薩摩七十七万石
  小テーマ 関ヶ原の戦い
  小テーマ 藩制のしくみ
  小テーマ 城下町の形成
  小テーマ 木曽川治水
  小テーマ 天保の財政改革
  コラム展示 琉球と薩摩
  コラム展示 商業と交通
  コラム展示 修験道とかくれ念仏
 中テーマ 西洋文化へのめざめ
  小テーマ 重豪と斉彬
  小テーマ 薩英戦争
  小テーマ 英国留学生とパリ万国博覧会
  コラム展示 教育
大テーマ 近・現代のかごしま
 中テーマ 明治維新と西南戦争
  小テーマ 倒幕への道
  小テーマ 戊辰戦争
  小テーマ 新政府と鹿児島
  小テーマ 西南戦争
  コラム展示 廃仏毀釈
 中テーマ 鹿児島の百年
  小テーマ 明治の時代
  小テーマ 大正から昭和へ
  小テーマ 昭和の時代
  コラム展示 奄美の復帰運動
  コラム展示 黎明館敷地の歴史

 以上のようなシナリオで、コラム展示は基本的には単体ケースで展示を行っており、場合によっては、ウォールケースのみを見学すれば、鹿児島の歴史の概略が理解できるようになっている。コラム展示は、鹿児島の歴史の特徴的テーマであると同時に、編年的な展示の特定の場所に入れることが困難なテーマでもある。
 ここで、第一世代の展示になかった各大テーマの大型模型を紹介しておきたい。中央動線から見渡せる4つの大テーマのシンボルとして何かを設置したらどうかという考え方は、企画書、基本・実施設計の段階から検討が続けられていたが、最終的にはその時代を代表するものの大型の模型を製作することになったが、その製作手順については前述した。ここでは、その資料的な位置付け、ねらい等について紹介する。

1.「原始・古代のかごしま」のシンボル

  −棟持柱建物模型−
     (縮尺2分の1,3.8×6.2m)

 鹿屋市の王子遺跡で発掘された特徴的な棟持柱を持つ弥生時代中期の掘建柱建物は、神殿あるいは集会所として使われていたと推定されている。このため、建物の内部に高坏、甕、勾玉、壷等を備えた祭壇を作り、これにマジックビジョンを利用したシャーマンの祈祷シーンを加えて、呪文らしき音声も聞こえるようになっている。

2.「中世のかごしま」のシンボル

  −志布志内城再現模型−
    (縮尺100分の1,3.8×6.2m)

 志布志城は、島津氏による三州統一がなされる前夜の鹿児島の歴史上極めて重要な中世の山城であるが、戦国時代後期の臨戦体制下にある状況を設定している。このために主だった曲輪の柵や土居周りには幟を立て、槍・弓矢・刀・薙刀・火縄銃等の武具や防御のための逆茂木、乱杭、一騎通し等の仕掛けを配置している。地形や植生等も充分に検討したほか、城自体が拡張整備されているので、場所によって古色の付き方の違いが出るように工夫した。

3.「近世のかごしま」のシンボル

  −出水麓及び伊藤家再現模型−
    (縮尺50分の1,3.0×13.2m)

 出水郷は薩摩藩の北西部に位置し、国境の要地に位置していたため、薩摩藩内でも歴史が古く最大規模の外城が作られていた。外城制度は、地頭仮屋を設け、その周辺に麓という武士集落をつくって地域の軍事、行政を管轄する薩摩藩独特のしくみであるが、これらの構成、それぞれの利用目的や役割、あるいは武士の住居としての生活の様子等が理解できるようにしている。江戸時代後期を設定し、地頭仮屋、演武地、諏訪神社、住居等からなる一区画を復元している。ここでは、人々の活動の様子が表現できるように、地頭仮屋に到着する大名行列を中心にして約300体の人形を配している。また、家のつくり、そこでの生活の様子を表現するために、集落全体の模型と区別して伊藤家を独立して復元している。

4.「近・現代のかごしま」のシンボル

  −昭和初期の天文館再現模型−
    (縮尺2分の1から小さくなる,4.7×10.8m)

 昭和初期、鹿児島第一の繁華街天文館通りには、活動写真館、市場、衣料雑貨店、食堂、写真館等が並び、多くの人々を引き付けていた。特に、夕闇が迫り最終の映画が始まる頃、楽団の客寄せの演奏が始まると、まもなくネオンの紅い灯、青い灯がともり、通りは人々であふれ、深夜までにぎわっていた。この模型では、このような町の様子を復元するとともに夕暮れ時から夜までを約15分にまとめて表現しており、照明の変化と合わせて雑踏のざわめき、楽団の音楽、市電の音を効果的に使い臨場感あふれるものにしている。

 このほか、大型の模型としては「鶴丸城模型」「奄美の集落模型」を製作しているが、どちらも十分な検討を踏まえて製作した。

(2)部門別展示

 部門別展示は、歴史、民俗、美術・工芸部門からなり、次のようなシナリオ構成になっている。

1. 歴史部門(2階)

 a. 郷土の人々
  鹿児島が生んだ人材をあらゆる分野から選定し、
  写真、経歴、遺品、遺墨等を紹介する。
 b. 明治維新
  明治維新における西郷、大久保の活躍を中心に、
  テーマ展示の内容を深める。
 c. 古文書が語る鹿児島の歴史
  黎明館が所蔵する多くの古文書で、時代を追っ
  て鹿児島の歴史を紹介する。
 d. 玉里島津家
  玉里島津家から寄託されている歴代藩主の書画
  や調度品等を展示して、大名家の生活の様子を
  紹介する。
 e. 発見かごしま
  収蔵資料の中から話題性のあるものを取り上げ、
  鹿児島の歴史のひとこまとして紹介する。

2. 民俗部門(2階)

 a. シラスと暮らし
  鹿児島独特のシラス台地で営まれる生活の様子
  を写真パネルで紹介する。
 b. 耕す・採る
  農業や漁業で使われる道具を展示し、伝統的な
  生活の様子を紹介する。
 c. 食べる・着る・住む
  衣食住に関する資料を展示し、鹿児島の特色を
  紹介する。
 d. 作る
  鹿児島の民具は、「竹の民具」と言われるが、竹
  を用いた様々な暮らしの道具を紹介する。
 e. 祈る
  庶民の信仰の対象となった民俗神や仮面等を紹
  介する。
 f. 祭る
  県内で行われる代表的な祭りを紹介する。
 g. 南島(海の世界)
  奄美の村落構造と海との関わりが深い南島の民
  間信仰の世界を紹介する。
 h. 話す・うたう
  口頭で伝承されてきた方言、神話、昔話、民話
  の世界を映像と音響で紹介する。

3. 美術・工芸部門(3階)

 鹿児島の美術・工芸を、a. 日本画・書、b. 洋画・彫刻、c. 薩摩焼、d. 薩摩刀に分けて紹介する。
 


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