インターネットミュージアム
美術館・博物館・イベント・展覧会 インターネットミュージアム
  インターネットミュージアム  >  エリアレポート  >  国立国際美術館「ライアン・ガンダー ―この翼は飛ぶためのものではない」

国立国際美術館「ライアン・ガンダー ―この翼は飛ぶためのものではない」

撮影・文 [エリアレポーター]胤森由梨 / 2017年4月25日
甘さと辛さの絶妙なバランス

コンセプチュアル・アートの旗手と言われるライアン・ガンダーの個展が国立国際美術館で開催中です。
日本でも何度か展覧会が開催されましたが、まだまだ知名度が高い芸術家とは言えません。
しかし、実際に作品を見てみると、ユーモラスな作品ばかりで、思わず笑みがこぼれます。

この展覧会の構成は以下の通り。
 地下二階:「ライアン・ガンダーによる所蔵作品展 ―かつてない素晴らしい物語」
 地下三階:「ライアン・ガンダー ―この翼は飛ぶためのものではない」

では、地下三階のガンダーの個展からご紹介していきます。
展覧会会場はこんな感じです。


まず入ってすぐに目を引くのがこの大きな穴です。
穴の中を覗いてみると・・・


無数の矢が本当に、床や壁に刺さっています。
こちらは、《ひゅん、ひゅん、ひゅうん、ひゅっ、ひゅうううん あるいは同時代的行為の発生の現代的表象と、斜線の動的様相についてのテオとピエトによる論争の物質的図解と、映画の100シーンのためのクロマキー合成の試作の3つの間に》(2010年)という作品です。

なぜこんなに大量に?どうやって刺したの?何を表しているの?
様々な想像力をかきたてられます。
よく見てみると、矢が刺さる向きはバラバラなのに、どことなくリズム感があります。

少し先に足を運ぶと、何やら実験室のような空間が広がっています。


右の壁に描かれた作品は、《もはや世界はあなた中心ではない》(2008年)で、床に置かれたクリスタルは、《何かを描こうとしていたまさにその時に僕のテーブルから床に滑り落ちた一枚の紙》(2008年)です。

壁に描かれた設計図のようなものは、まさに今ちょうど書き終えたばかり、といった具合に床にチョークの粉が落ちています。


右側の作品は《何でも最後のつもりでやりなさい−シャーロット》(2014年)、《何でも最後のつもりでやりなさい−マヤ》(2014年)、《イマジニアリング》(2013年)。
左にうずくまっているのは、《リアリティ・プロデューサー(構造と安定のための演劇的枠組み)》(2017年)という作品です。

展覧会会場に入ったときから気になっていた何かの匂い。地下二階から地下三階へ向かうにつれてだんだんと、独特な匂いが濃くなっていく気がする・・・発生源はどこだ?と探していたら、ここにたどり着きました。
今死角になっている壁の後ろにお香が炊いてあります。

これはガンダーがイギリスの海沿いのある、自分の家の暖炉を燃やした匂いを再現し、お香を炊いているそうです。
日本人にはなかなか嗅ぎ慣れない匂いで、少し独特です。

今の鑑賞者の気持ちをなかなかよく表現しているのではないかと思うのが、左の作品です。
頭を抱えたロボットが座っています。
ちなみにこのロボットは、子供が丸と線で描くような棒人形をイメージして作っているそうです。

この展覧会では、普通に展示を見て回るだけでは気づかないような小さな作品も展示されています。


右にあるアイスのようなものは、《動いていく物、または滑り落ちる瞬間》(2017年)という作品です。
作家の「神格化」に興味があるというガンダーらしい作品です。
台に置かれていない、こんなものも作品として認識され、崇められるということへの皮肉とも読めます。

では次に地下二階の展示をご紹介します。
地下二階は、国立国際美術館が所蔵する作品をガンダーが選定し、並べるコレクション展です。
隣り合うように、すべての作品がセットで展示されています。


右にある彫刻作品が、ジャン=ピエール・レイノー《自刻像》(1980年)、左にあるのが、エルヴィン・ヴルム《無題》(2008年)です。

ヴルムの方はタイトル《無題》ですが、服を着ていることから、おそらく自分自身を表現しているのではないかと想像できます。
この二つはそれぞれが自分自身を表現した作品ですが、表現の仕方は大きく異なっています。

ガンダーはこの地下二階の展示スペースで、普段は絶対に隣り合うことのない作品同士を横に並べて、それらが持つ共通点は何なのかというお題を、見る者に投げかけます。

ちょっとお茶目でちょっと皮肉っぽいガンダーの作品を、是非会場でご体感ください。

会場国立国際美術館
開催期間2017年4月29日(土)~7月2日(日)
開館時間10:00~17:00、金・土は~20:00(いずれも入場は30分前まで)
所在地大阪府大阪市北区中之島4-2-55
06-6447-4680 (代)
HP : http://www.nmao.go.jp/exhibition/2017/gander.html
料金 「ライアン・ガンダー ―この翼は飛ぶためのものではない」
一般 900円、大学生 500円
夜間割引(金・土の17:00~20:00)一般 700円、大学生 400円
※「ライアン・ガンダーによる所蔵作品展 ―かつてない素晴らしい物語」もご覧いただけます

「ライアン・ガンダーによる所蔵作品展 ―かつてない素晴らしい物語」
一般 430円、大学生 130円
4月29日(土)、5月6日(土)、20日(土)、6月3日(土)、7月1日(土)は無料
展覧会詳細へ 「ライアン・ガンダー ―この翼は飛ぶためのものではない」詳細情報
エリアレポーターのご紹介
胤森由梨 胤森由梨
美術が大好きなアートライターです。美術鑑賞に関わる仕事を広げていきたいと思っています。現在、instagram「tanemo0417」「artgram1001」でもアート情報を発信中です!

エリアレポーター募集中!
あなたの目線でミュージアムや展覧会をレポートしてみませんか?

取材レポート
サントリー美術館「フランス宮廷の磁器 セーヴル、創造の300年」
セーヴルの300年
Bunkamura ザ・ミュージアム「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」
ルドルフ2世の…
パナソニック 汐留ミュージアム「ヘレンド展 ― 皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯」
ヘレンド展
根津美術館「墨と金 ― 狩野派の絵画 ―」
墨と金
上野の森美術館「生賴範義展 THE ILLUSTRATOR」
生賴範義
横浜美術館「石内 都 肌理と写真」
石内 都
国立科学博物館「古代アンデス文明展」
古代アンデス文明展
21_21 DESIGN SIGHT「野生展:飼いならされない感覚と思考」
野生展
日本科学未来館「MOVE 生きものになれる展 -動く図鑑の世界にとびこもう!-」
MOVE なれる展
エリアレポーター 神戸市立博物館「ボストン美術館の至宝展 ― 東西の名品、珠玉のコレクション」
[エリアレポーター]
ボストン美の至宝
エリアレポーター 国立西洋美術館「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」
[エリアレポーター]
北斎とジャポニスム
エリアレポーター 大阪市立東洋陶磁美術館「唐代胡人俑 ― シルクロードを駆けた夢」
[エリアレポーター]
唐代胡人俑
エリアレポーター 国立科学博物館「南方熊楠」
[エリアレポーター]
南方熊楠
エリアレポーター 大塚国際美術館
[エリアレポーター]
大塚国際美術館
エリアレポーター ホキ美術館「第3回 私の代表作展」
[エリアレポーター]
ホキ美術館
ミュージアグッズのオンラインショップ ミュコレ
2018年の展覧会予定(東京近郊・大阪近郊) 博物館・美術館の情報
皇室がご覧になった展覧会 博物館・美術館の情報
テレビでミュージアム 博物館・美術館の情報
エリアレポート(読者による取材記事) 博物館・美術館の情報
ニュース
一覧
東日本大震災・ミュージアム関連情報サイト MUSEUM ACTION
イベント検索ランキング
特別展 運慶 草乃しずか展 煌く絹糸の旋律 国宝 雪松図と花鳥 -美術館でバードウォッチング- ヘレンド展―皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯
鉄道絵画発→ピカソ行 コレクションのドア、ひらきます ファンタジーの王様 武井武雄展 ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち 色絵 Japan CUTE ! 
博物館・美術館検索
ミュージアム干支コレクションアワード 干支コレクションアワード「犬」
いよいよ投票開始!!
人気の展覧会 ブログパーツ アクセス数が多い展覧会を地域別にご紹介、ご自由にどうぞ。
ミュージアムキャラクターアワード2017 ミュージアムキャラクターアワード
2017 結果発表
刀剣乱舞(とうらぶ)に登場する刀たち 「刀剣乱舞-ONLINE-」に実装された刀、IM取材分をまとめました。
パートナーサイト 関連リンク集

             

博物館、美術館、展覧会の情報登録
博物館、美術館、展覧会に最適。広告のお問い合わせ
インターネットミュージアムへのお問い合わせ

Copyright(C)1996-2018 Internet Museum Office. All Rights Reserved.
ミュージアム・博物館・美術館の情報サイト[インターネットミュージアム]は、丹青グループが運営しています
協力/ (株)丹青研究所 、編集・制作/ (株)丹青社