企画展「屏風で楽しむ京･名･物」

面白の花の都や一古来人々を魅了し続けてきた京都。ことに交通の発達した江戸時代には、多くの旅人が訪れました。観光都市、京都の始まりです。 人々が目指したのは豊かな風光、数々の名所旧跡、そして美術工芸から芸能、食におよぶ香り高い文化でした。そしてそれらはまた絵画の格好の題材ともなりました。本展では「京名物」を鍵として屏風や絵巻をそぞろ眺めてまいります。 今回、そのガイド役をつとめるのが《二条城行幸図屏風》です。江戸時代初期、寛永三年(1636)に挙行された後水尾天皇の二条城行幸を描くこの作品は、行列の貴人の盛装もさることながら、沿道を埋める観衆の自由な見物スタイルが際立つ一級の風俗画です。最新モードの男女、豪華な見物席のしっらえ、宴席と見まごう繊細な料理…いわば京名物のエッセンスがつまったこの名品を、高精細スキャナーによる拡大画像を援用してご紹介します。これらを手がかりに、描かれた京名物めぐりをはじめましょう さあみなさま、この秋、屏風絵の世界へと物見遊山に繰り出そうではありませんか