江戸とつながる川の道－近世下野の水運－

江戸時代には、河川（かせん）が整備され、大量輸送が可能な水運は主要な交通手段となっていきました。その結果、下野（しもつけ）でも多くの船が河川を行き交い、沿岸には物資の上げ下ろしをする河岸（かし）が形成されました。水運に利用された下野の河川には、鬼怒川（きぬがわ）・思川・巴波川（うずまがわ）・渡良瀬川（わたらせがわ）・那珂川などがあり、それぞれが利根川（とねがわ）・江戸川をとおして江戸とつながっていました。また、それらの河川は、下野国内で河岸をとおして奥州道中・例幣使（れいへいし）街道などの主要街道とも接続していました。水路と陸路の連携によって、河川を介した物資の輸送範囲は下野国内にとどまらず、奥州にまで及んでいたのです。 そこで、今回の展示では、陸路と水路との結節点であった下野の水運はどのようなものであったのか、絵図や文書（もんじょ）などによって、その実態を紹介します。