西洋のからくり人形AUTOMATA

オートマタは、生命を一個の機械として理解し創造しようとした西欧的思考を背景に持つ西洋のからくり人形です。本展では、その精神を引き継ぎながら、21世紀の現代に作られているオートマタを紹介します。動きを伴うことで物語が生き生きと語りだすオートマタは、ユーモラスな題材を表現したオブジェとして、また歯車などシンプルなパーツの組み合わせによって生み出される複雑な動きとしての2つの魅力を持っています。人間が追い求め、魅了され続けている「物を動かす」といった根源的な欲であり夢を体現している遊具が、現代オートマタです。「動き」の特徴を、単純化したり誇張化したり様式化することで、本質を際立たせて見せる演劇的表現を持つオートマタは、まるで小さな1つの舞台のようでもあります。 技術の機械化と共に誕生したオートマタですが、電力を主体とした遊具や玩具が主流となす現代においては、前時代的なものとも言えるでしょう。しかしながら、機械文明の頂点の1つである原子力発電所の事故から3年が経ったいま尚、解決の糸口は見出されていない「今」において、オートマタには見直されるもの、考え直されるものがあるのではないでしょうか。オートマタを動かしながら、「人間」と「機械」との関係、また、それを取り巻く「社会」や「環境」、「地球」へと想像を巡らす時間になると幸いです。