今日の美術は、大きな時代の変革のなかで、メディアの進歩や価値観の多様化などの影響を受け、領域の拡張を続けています。いつの時代も、あらゆる芸術表現は<いま>を映す鏡であり、そこには過去の歴史やそれを育んだ風土の記憶が、多かれ少なかれ刻まれていると言えるでしょう。アーティストは皆、優れた先人たちの表現に触れ、彼らが築き上げてきた伝統に学び、参照し、ときに反発しながらも、それを乗り越えるための模索を繰り返し、自身の表現を追及してきました。
本展では、特別展示室「觀海庵」で開催中の「サイトゥオンブリー×東洋の線と空間」展にちなみ、トゥオンブリー同様、美術史に確かな足跡を残した現代美術の巨匠と呼ばれる作家たちの作品や、その次世代の作家たちが古典とされる作品やその様式を参照するさま(アプロプリエーションやメタモルフォーゼ)の諸相を、分かりやすく紐解きながら見て行きたいと思います。
■出品作品
ヴィレム デ クーニング「無題」1967年/ロバート マザウェル「オープン#96」1969年/ケネス ノーランド「サマータイム」1964年/ロバート ラウシェンバーグ「間に合わせもの」1964年/バックミンスター フラー「星状双対正四面体」1980年/アンゼルム キーファー「メランコリア」1988年/ロイ リキテンシュタイン「静物」1972年/ミカリーン トーマス「ママブッシュ:母は唯一無二の存在」2009年/森村泰昌「美術史の娘、マハC」1990年、「スローターキャビネットⅡ」1995年/森弘治「After a painting」2004年/草間彌生「ミラールーム(かぼちゃ)」1991/2015年/束芋「真夜中の海」2006/2008年 など
*草間彌生「ミラールーム(かぼちゃ)」は北欧4か国(ルイジアナ近代美術館等)を巡回する大回顧展に貸出出品いたします。そのため当館では、この夏より約2年間にわたり、作家協力のもと、特別ヴァージョンでの公開となります。
*開催中の展覧会も併せてご覧いただけます。
特別展示 藤 浩志 Useless Selectionより(現代美術ギャラリーB内)
会期:7月18日[土]-9月2日[水]
サイトゥオンブリー×東洋の線と空間 (特別展示室 觀海庵)
会期:5月29日[金]-9月2日[水]
絵の中のまなざしを視る (特別展示室 觀海庵)
会期:9月4日[金]-10月12日[月・祝]