企画展〉猪風来の沖縄シリーズ「月夜の森の女神たち」展

宮古島の森のウタキ（拝所）で祈る女性たちが月光に照らされて輝き、凛とした精神が夜風に揺らめきながら一帯に満ちる。香をたき神歌を謡って大地と一体となり、生きとし生けるすべての生命の豊饒を祈る“女の祭”― ユークイ（世乞い）。1996年、猪風来は写真家・比嘉康夫氏に導かれ沖縄の女の祭「竜宮ニガイ」を体感する機会を得る。女性だけの秘祭に流れる精神世界は縄文古層の祈りの造形に通底すると直感し、以来3年間沖縄の離島に通う。大神島では気高い叫び声とともに山頂から降りて舞い祈る女神たちの列へ偶然にも遭遇する。島の祖霊を祀るウヤガンを目の前にした感動。弥生以来の男性原理思考による文明・戦争史の中で、自然が侵され生命の豊饒が危ぶまれている現代にあって、その対極にある女性が司どる生命と魂の祭が醸し出すこよなく美しい精神世界をそこに視るのです。 今回の企画展では、沖縄の女の祭をテーマに月夜の森で舞い踊る女神たちを野焼き焼成し大きなレリーフ作品とした連作9点や縄文シーサーなど展示。どうぞご覧下さい。