青磁は中国で生まれ発展し、日本、東南アジア、朝鮮半島に伝播していきました。日本への流入は11世紀ころ、生産は17世紀頃より始まりました。青磁特有の青緑色は、釉薬中の鉄分が焼成炎で還元されて発色したものです。
このたびの展示では、独創的な『中島青磁』を確立し、現在も活躍中の中島宏(重要無形文化財「青磁」保持者)の作品を中心に、新潟県佐渡島の土を使用し中国発の南宋官窯や鈞窯の技法を取り入れ、独自の作品を生み出した三浦小平二(重要無形文化財「青磁」保持者)の作品など、古くからある青磁に倣いつつ、作家固有の思いが込められた魅力に迫ります。その他、姫路のやきもの東山焼の青磁作品などを一堂に集めて静かな青磁の趣を皆様にご紹介致します。
また、同時開催として、風景画展を開催致します。風景画は、ヨーロッパにおいては17世紀に確立され、19世紀の主要な芸術創造となっていきました。日本においては、中国の山水画・水墨画の影響を受け奈良時代より描かれるようになり、明治時代に西洋の画材や文化、技法が流入し、それまでの心理的な山水画ではなく写実的な風景画の概念が浸透し発達していきました。
さて、今回は当館所蔵の風景画作品より、明治以降の日本の作家が描いた風景画にスポットをあてました。岡田三郎助や梅原龍三郎、山下清などの作品を展示致します。作家が自然と対峙した時の心の様子に思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。