JCIIフォトサロンでは、来る2018年2月27日(火)から4月1日(日)まで、細江英公作品展「おとこと女」を開催いたします。
日本を代表する写真家である細江英公さんは、小説家・三島由紀夫の〈薔薇刑〉、舞踏家・土方巽の〈鎌鼬〉、そして
建築家・ガウディの〈ガウディの宇宙〉など、被写体と共振して独自の耽美な世界観を表現してきたことで知られてい
ます。本展では、土方と弟子をモデルに旧約聖書にある男女の起源をイメージした〈おとこと女〉より、約30点(すべてモ
ノクロ)を展示します。このシリーズは1960年に発表されましたが、当時は享楽や憧憬の対象としてのヌード写真が主流でした。細江さんは、人間の根本たる"生"と"性"を、リアルな男女の身体を通して象徴的に表現しています。
マーガレットの花を口にくわえた女、たくましい男の腕とまろやかな女の腰、ふれ合う男女の胸、小鳥をやわらかく手中に収める男など、赤裸々でありながら抽象性の高いモダンな作品群は、60年代以降の様々な表現に大きな影響を与えました。〈おとこと女〉を観た三島が撮影を依頼してきて〈薔薇刑>が創られるなど、細江さんにとっても大きな転機となる作品であったと言えましょう。
生と死、肉体と精神を一貫したテーマとして独自の表現を続け、日本の写真表現を切り拓いてきた細江さんの初期代表作くおとこと女〉は、58年経った今日も、耀きを放っています。