大阪日本民芸館春季特別展　絞り染 ―布に咲く花―

絞り染による染織作品約80点を展示し、多彩な技法と表現が紹介されます。 絞り染は、布の一部を糸で絞る、括る、縫い締める、板で挟むなどして、染液の浸透を防いで染める染色技法です。防染したい部分をひとつひとつ手で絞った後、染液に浸し、染め終わった布を解きほぐすと、絞り方によって様々な模様が布の上に現れます。したがって、模様の全てを自由自在にコントロールすることは出来ず、その出来栄えは偶然性にも委ねられる技法です。また、布地をきつく絞って模様を作る為に、完成した布表面にはしぼが浮き、布地自体も変化に富んだ独特の風合いを持っています。日本に現存する最古の絞り染は、正倉院や法隆寺の宝庫に残されていますが、よりシンプルで単純なものはそれ以前にもつくられていたと考えられます。江戸時代には木綿の普及に伴って貴族階級のみならず庶民の衣服としても広く親しまれ、日本各地で生産されるようになっていきました。とりわけ、絹に染める「京鹿の子」で知られる京都と、木綿に染める「有松・鳴海絞り」のある名古屋は、日本でも有数の産地として興隆しました。さらに、近現代になると、表現の幅広さから作家達にも取り入れられ、従来の技法を生かして現代的な作品がうみだされていきます。原始的な技法であるだけに、世界各地で行われていますが、日本では100種を超える豊富な技法がうみだされました。 同展では、明治から昭和にかけて日々の衣服として用いられた絞り染による着物や、現代の作家達による大型の絞り染作品が紹介されます。