左:『ル・ジュルナル』紙(1902年1月18日号、3頁)Source gallica.bnf.fr / BnF 右:赤外線ハイパースペクトル擬似色彩による新聞紙の文字の画像(反転画像)© John Delaney, National Gallery of Art, Washington
2018年6月5日(火)、ポーラ美術館は、同館が所有するピカソ「青の時代」の代表作《海辺の母子像》下層部の新発見について記者発表を行った。
調査は2018年4月、ポーラ美術館、アメリカのワシントン・ナショナル・ギャラリー(NGA)、カナダのアートギャラリー・オブ・オンタリオ(AGO)が共同で行ったもの。2005年に透過X線調査で発見された下層の絵画について、より明確な画像を得るために実施された。
今回、対象物の成分に関する情報を非破壊・非接触で得られるハイパースペクトル・イメージング・スキャナーを用いた調査を初めて行ったところ、《海辺の母子像》の下層部から、ピカソの愛読紙だったフランスの日刊紙『ル・ジュルナル』(Le Journal)が貼り付けされていたことを新たに発見。
新聞は1902年1月18日に発行されたものと判明。この日付はピカソが「青の時代」にパリからバルセロナに移動した時期に重なる。この発見により《海辺の母子像》が、1902年1月18日以降の作品であることが確定された。
さらに、絵の上部からは上下が反転したサインも発見。分かっていた下層の絵画のさらに下に、別の絵画が描かれていた可能性も指摘されている。
今回の発見はピカソ研究者にとって重要な意味をもたらすもので、さらなる解明に向けて調査が進むとみられている。
《海辺の母子像》はポーラ美術館で8月中旬まで展示予定。その後9月18日からオルセー美術館で開催される「ピカソ:青の時代とバラ色の時代」展(2018年9月18日~2019年1月6日)に出品される。
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