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    レポート
    ミケランジェロと理想の身体
    国立西洋美術館 | 東京都
    傑作2点が初来日
    イタリア・ルネサンス期の巨人、ミケランジェロ・ブオナローティ(1475-1564)。「神のごとき」と称されるミケランジェロが手掛けた大理石彫刻は、約40点しか存在しませんが、そのうちの2点が初来日! 古代ギリシャ・ローマとルネサンス美術を比べながら紹介する展覧会が、国立西洋美術館で開催中です。
    ミケランジェロ・ブオナローティ《ダヴィデ=アポロ》(部分)1530年頃 フィレンツェ、バルジェッロ国立美術館
    ミケランジェロ・ブオナローティ《若き洗礼者ヨハネ》1495-96年 ウベダ、エル・サルバドル聖堂、ハエン(スペイン)、エル・サルバドル聖堂財団法人
    (左右とも)《プットーのレリーフ》1世紀前半 ヴェネツィア国立考古学博物館
    デジデリオ・ダ・セッティニャーノに基づく《祝福する幼児キリスト》15世紀 フィレンツェ、ステファノ・バルディーニ美術館
    (左から)《子どもたちを解放するテセウス》65-79年 / 《ヘラクレスとテレフォス》65-79年 ともにナポリ国立考古学博物館
    オルトス《アッティカ赤像式キュリクス、ヘラクレスとヒュドラ》紀元前510-500年 ローマ、ヴィラ・ジュリア国立博物館、カステッラーニ・コレクション
    《竪琴を弾くアポロン》2世紀初頭 フィレンツェ国立考古学博物館
    ジャンボローニャ《裸体の男性》1572年頃 フィレンツェ、ホーン美術館
    ヴィンチェンツォ・デ・ロッシ《ラオコーン》1584年頃 ローマ、個人蔵、ガッレリア・デル・ラオコーンテ寄託
    男性の理想的な身体表現をテーマにした本展。女性の美を中心に据えた展覧会はしばしば開かれますが、男性の裸体表現に着目した展覧会はやや珍しい試みといえます。

    展覧会は3章構成で、第1章「人間の時代 ─ 美の規範、古代からルネサンスへ」から。古代ギリシャでは、外見の美と内面の善は一致するとされていたため、美しい肉体は重要な意味を持っていました。

    アスリートの肉体は人体表現の規範となり、人間の姿で表現される神々も完璧な肉体に。古代彫刻における裸体彫刻は、ルネサンス美術の教科書になりました。


    第1章「人間の時代 ─ 美の規範、古代からルネサンスへ」

    お目当ての彫刻2点は、第2章「ミケランジェロと男性美の理想」。階段を下がった展示室で、ドラマチックに登場します。

    《ダヴィデ=アポロ》は、ミケランジェロが50代半ばで制作した作品。左腕を背中に伸ばす男性像、表面には荒々しいノミ跡も残ります。手の先に投石器があればダヴィデ、矢筒ならアポロですが、残されたのは石の塊。主題が確定できないため《ダヴィデ=アポロ》と呼ばれています。バランスが良い立ち姿を、360度まわってお楽しみください。

    一方の《若き洗礼者ヨハネ》は、20歳をすぎた頃の作品。純粋無垢な少年の姿で「洗礼者ヨハネ」を表しました。スペイン内戦で被災し、わずか14の石片となってしまいましたが、破壊される以前の写真を元に修復、2013年にお披露目されました。

    ミケランジェロ以外では《ラオコーン》にも注目。ラオコーン像は古代彫刻の傑作ですが、こちらはほぼ原寸大の大理石で模刻したルネサンス期の作品。1506年に像が発見された時、ミケランジェロも発掘に立ち会っています。この作品は、写真撮影も可能です。


    第2章「ミケランジェロと男性美の理想」

    存命中から神話的な存在だったミケランジェロ。その顔貌や生涯は出版物を通じて称えられました。

    肖像は没後まもなく彫刻が作られただけでなく、絵画やメダルにもなって広く伝播。ルネサンスの象徴としてヨーロッパ中に広まりました。


    第3章「伝説上のミケランジェロ」

    展覧会では「理想の身体美」つながりとして、展覧会サポーターに新日本プロレスの棚橋弘至さんが就任。《ダヴィデ=アポロ》のポーズをして撮影・Twitterで投稿すると、新日本プロレスのチケットなどがあたるユニークなキャンペーンも実施中です。詳しくは公式サイトをご覧ください。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年6月18日 ]

    図説 ミケランジェロ図説 ミケランジェロ

    青木 昭(著)

    河出書房新社
    ¥ 1,944

    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2018年6月19日(火)~9月24日(月・祝)
    会期終了
    開館時間
    9:30〜17:30
    金曜・土曜日 9:30〜20:00
    ※「カフェすいれん」以外のミュージアムショップ等の館内施設の営業は開室時間と同じ
    休館日
    月曜日(ただし、7月16日、8月13日、9月17日、9月24日は開館)、7月17日(火)
    住所
    東京都台東区上野公園7-7
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト https://artexhibition.jp/michelangelo2018/
    料金
    一般 1,600(1,400)円 / 大学生 1,200(1,000)円 / 高校生 800(600)円

    ※( )内は前売券および20名以上の団体料金
    ※前売券は各プレイガイドにて6月18日(月)まで販売
    ※中学生以下無料
    ※障がい者手帳をお持ちの方および介助者1名は無料
    展覧会詳細 ミケランジェロと理想の身体 詳細情報
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