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レポート
福岡市博物館所蔵 幽霊・妖怪画大全集
そごう美術館(横浜駅東口 そごう横浜店 6階) | 神奈川県
横浜で待つ、最恐の幽霊たち
三井記念美術館横須賀美術館とともに、東京近郊の3館で開かれている今夏の幽霊・妖怪展。そごう美術館の本展は、間違いなく最強(最恐?)の怖さです。
幽霊の掛け軸がずらりと並ぶ会場は圧巻
プロローグ「笑う骸骨」
長沢廬雪《九相図》
左から、伝・円山応挙《幽霊図》、伝・円山応挙《幽霊図》
左から、作者不詳《幽霊図》、渓斎英泉《幽霊図》
小林清親《四季幽霊図》は、幽霊を四季で描き分けた珍しい作品
左から、伊藤若冲《付喪神図》、水野香圃《妖怪図》
「妖怪動物園」に並ぶのは、猫、鼠、狐…
中央は、吉川観方《朝露・夕霧》、両脇は吉川観方《朝露・夕霧(下絵)》
福岡市美術館で昨年夏に開かれた本展。大阪展を経て、関東に巡回してきました。

展示作品は京都出身の日本画家で、風俗研究家でもあった吉川観方(よしかわかんぽう 1894~1979)の幽霊・妖怪画コレクションが中心。夏の妖怪展は「どことなくユニークな姿も…」という構成が定番ですが、本展では‘ユニーク’は控えめ。本格的な恐ろしい作品が次々に登場します。

展覧会のプロローグは「笑う骸骨」から。「笑う」とあっても油断は禁物。美しい女性が亡くなって朽ちていく長沢廬雪の《九相図》は、生前の女性が魅力的なだけに、強烈な破壊力です。


長沢廬雪《九相図》は、強烈なインパクト

第1章「幽霊画の世界」には、掛け軸がずらりと並びます。幽霊はそのプロポーション(?)から、縦長の掛け軸との相性はピッタリですが、これほどの数の幽霊画の掛け軸が揃った展示は、恐らくかなり珍しいはず。なかなか壮観です。

単独の幽霊画を完成させた「幽霊画の祖」ともいえる円山応挙筆と伝わる作品をはじめ、渓斎英泉、谷文晁、そして幽霊・妖怪画のスペシャリストである河鍋暁斎など、ビッグネームが目白押し。幽霊の絵はとても人気がある題材だったのです。


第1章「幽霊画の世界」は、掛け軸が壮観

第2章「妖怪画の世界」に進むと、恐ろしさという点では若干和らぐかもしれません。どことなくホッとする作品も並びます。

中でもこちらの《付喪神図》はユニーク。茶碗、茶釜、燭台、琴、琵琶などが妖怪になった絵で、海外の絵本にでも出てきそうなタッチですが、何と作者は伊藤若冲。「奇想の画家」はこんな絵も描いていたのです。


伊藤若冲《付喪神図》

展覧会の最後は、本展の出品作をコレクションしていた吉川観方自身の作品です。

向かって右幅が朝化粧をするお岩、左幅が蚊遣火の中から現れたお菊。下絵も一緒に紹介されてるこの作品は、昭和23年、戦後間もない時期に描かれました。

恐ろしさの中に微かに漂う、生前の色気。図録で「日本の幽霊画の到達点を示す傑作」と評されていますが、まさに同感です。


吉川観方《朝露・夕霧》

恐ろしい作品はもちろんですが、じっくり読んでいただきたいのが、福岡市美術館の中山喜一朗氏による作品説明のキャプション類です。

明治の近代化で幽霊画は下火になりましたが「しかし幽霊は死んだわけではありません。もともと死んでいるわけですし」。珍しい扇面の幽霊画に「これでおあぐと、涼しいかもしれない」と、幽霊への深い愛情に溢れたコメントは、個人的にツボに入りました。

この夏に開催される三つの妖怪展(本展、三井記念美術館「大妖怪展」横須賀美術館「日本の「妖怪」を追え!」)では、半券持参で相互割引を実施しています。ぜひ比べてお楽しみください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年8月5日 ]

肉筆幽霊画の世界

安村 敏信 (著)

新人物往来社
¥ 2,205

 
会場
会期
2013年7月27日(土)~9月1日(日)  ※8月12日(月)は休館
会期終了
開館時間
10:00~20:00(入館は閉館の30分前まで)
※そごう横浜店の営業時間に準じる
休館日
8月12日(月)
住所
神奈川県横浜市西区高島2-18-1
電話 045-465-5515
公式サイト http://www.sogo-gogo.com/museum/
料金
大人 1,200(1,000)円/大学・高校生 900(700)円/中学生以下無料
※()内は20名以上の団体および前売料金
※障害者手帳をお持ちの方、そのご同伴者様1名は()内の料金で入館いただけます。
展覧会詳細 福岡市博物館所蔵 幽霊・妖怪画大全集 詳細情報
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