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    レポート
    孫文と梅屋庄吉 100年前の中国と日本
    東京国立博物館 | 東京都
    国境を越えた100年前の友情
    20世紀初頭の中国で辛亥革命を起こし「中国革命の父」と呼ばれる孫文と、孫文を物心両面で支援した実業家の梅屋庄吉。二人が生きた時代を古写真などで振り返る特別展が、東京国立博物館で開催中です。
    展覧会場
    フライヤーに使われている、孫文と梅屋庄吉夫妻。
    太和門(中央)(「北京城写真」より) 小川一眞撮影 光緒27年(1901) 東京国立博物館蔵 (展示期間 8月16日~9月4日) ◇太和門は清の王宮である紫禁城最大の門。雑草が生えるなど、すっかり荒廃した姿に。
    孫文の胸像。梅屋庄吉は孫文の偉業を後世に伝えるために孫文の銅像を制作。それを基にして小さな胸像が100基作られ、関係者に贈られた。
    花屋敷での集合写真 大正2年(1913) 小坂文乃蔵 ◇孫文は大正2年に鉄道事業視察のために日本を公式訪問。その際に、日本最古の遊園地とされている花屋敷に訪れています。
    梅屋庄吉ゆかりの人物として、革命を助けた宮崎滔天の姿も。
    こちらは梅屋庄吉夫妻。梅屋の妻トクは、英語が話せたため梅屋の諸事業を支えた人物。孫文と宋慶齢の仲を取り持ったのもトクでした。若い頃の写真は、なかなかチャーミング。
    ニューヨーク ブロードウェイのスチュワート氏宅と市庁舎の公園(『万国写真帖』より) 19世紀 東京国立博物館蔵 (展示期間 7月26日~8月15日) ◇専用の眼鏡(ステレオビュワー)で見ると像が立体視できる写真。いわゆる3Dの先駆です。
    会場ではこのコーナーで立体視できます。
    辛亥革命で清朝を倒した孫文が多くの日本人の支援を受けていたことは良く知られていますが、梅屋庄吉は「自分が孫文の革命に関わったことを一切口外するな」という主旨の遺言を残して死去したこともあり、あまり知られていません。

    梅屋庄吉は長崎生まれの実業家で、孫文とは同年代(2歳年下)。香港で手がけた写真業が成功。帰国後は映画業を手がけ、一般的には映画会社の日活の創業者の一人として知られています。香港で孫文と知り合って意気投合し、以後、孫文に多大な資金援助をしました。孫文は26歳下である宋三姉妹の次女、宋慶齢と結婚しますが、二人の仲をとりもったのも庄吉の妻トクです。

    展覧会場

    展覧会は「清朝の黄昏」「孫文と梅屋庄吉」「幕末明治の日本」「近代中国の姿」「万国写真帖」の5部構成。孫文と梅屋庄吉の関係資料だけでなく、滅びゆく清朝の紫禁城、活気あふれる長崎の町、中国の街角の風景など、19世紀終わり頃から20世紀前半の姿が貴重な写真で紹介されています。

    革命の志士の寄せ書き衝立。左上には蒋介石の名も。

    梅屋庄吉が作った孫文の銅像は、文化大革命でも「日本の大切な友人、梅屋庄吉から贈られたものだから、絶対に壊してはならない」として守られました。新しい時代を迎えつつある日中関係。国境を越えた100年前の友情の姿から、我々も学ぶべきことがありそうです。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年7月25日 ]
     
    会場
    会期
    2011年07月26日(火)~9月4日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~18:00
    ※総合文化展は17:00まで
    ※時期により変動あり
    いずれも入館は閉館の30分前まで
    休館日
    毎週月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)、年末年始、
    ※詳細、その他休館についてはHPにてご確認ください。
    住所
    東京都台東区上野公園13-9
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    03-5777-8600 (ハローダイヤル)
    公式サイト http://mainichi.jp/enta/art/sonbun/
    展覧会詳細 「孫文と梅屋庄吉 100年前の中国と日本」 詳細情報
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