IM
    レポート
    ふたたびの出会い 日韓近代美術家のまなざし―『朝鮮』で描く
    神奈川県立近代美術館 葉山 | 神奈川県
    困難な時代を歩んだ、両国の美術家たち
    20世紀前半の日本と朝鮮半島。社会はさまざまな矛盾を秘めていましたが、日韓両国の美術家は、それぞれの立場で時代に向き合い、交流を重ねながら、自らの表現を探求していきました。今年は日韓国交正常化からちょうど半世紀。困難な時代を進んでいった美術家たちを紹介する意欲展が、神奈川県立近代美術館 葉山で開催中です。
    (左から)中澤弘光《朝鮮歌妓》京都市美術館 / 藤島武二《花籠》京都国立近代美術館
    (左から)李仁星《黄色いワンピースの婦人》 / 鳥居昇《老婆》神奈川県立近代美術館 / 李惟台《探求》韓国国立現代美術館
    (左から)李快大《二人 肖像(下絵)》李快大《二人 肖像》
    (手前)新海竹蔵《砧》東京国立近代美術館
    (左から)杉浦非水《京城三越 新館落成》東京国立近代美術館 / 李仁星《窓辺》
    (左から)呉之湖《日本風景》韓国国立現代美術館 / 山田新一《俘虜二人》有限会社青木画材店
    (手前)金景承《女人胸像》
    (左から)全和凰《一燈園風景》光州広域市立美術館 河正雄コレクション / 全和凰《ある日の夢(銃殺)》京都市美術館(河正雄氏寄贈)
    (左から)曺良奎《31番倉庫》光州広域市立美術館 河正雄コレクション / 曺良奎《人物デッサン》
    この時代の北東アジア美術シーンについては、昨年も「東京・ソウル・台北・長春-官展にみる-それぞれの近代美術」展が開催されましたが、本展は地域こそ日韓に絞っているものの、枠組みは官展を越えて大きく拡大。在野の活動や、美術家同士の関係についても植民地支配という従来からの見方を大きく越えて、幅広く俯瞰していきます。

    展覧会は第1章「『朝鮮』との出会い」から。日本から朝鮮半島に渡った美術家や、「朝鮮」生まれの日本人美術家らの作品が並びます。特に彼らの創作意欲を刺激したのは、明るい韓服を着た妓生(キーセン)でした。


    第1章「『朝鮮』との出会い」

    第2章は「近代『朝鮮』の風景」。日本から来訪した美術家は京城(現ソウル)の王宮建築など、日本とは異なる名所旧跡に興味を示しました。一方でこの地に移住した日本人美術家は、伝統的な画題や、何気ない風景に関心を寄せます。日韓の美術家がともに好んで描いたのは、一代名所となった金剛山(クムガンサン)です。


    第2章「近代『朝鮮』の風景」

    第3章は「近代『朝鮮』の日常」。19世紀後半の開国以降の「朝鮮」は目覚ましいスピードで近代化。都市には近代建築が建ち並び、街には洋装のモダン・ガールやモダン・ボーイが闊歩するようになります。室内にはモダンな家具、雑誌や書籍のデザインも大きく変わっていきました。


    第3章「近代『朝鮮』の日常」

    第4章は「美術グループと師弟関係」、日韓近代美術のさまざまな交流を紹介します。「朝鮮」では、美術学校設立の希望は長年出され続けましたが結局許可されず、新しい美術を求める人の多くは東京美術学校(現東京藝術大学)を目指し、私立学校が増えてくると文化学院をはじめ留学先も多様化しました。韓国人による韓国人のための研究・展覧会機関や、在「朝鮮」日本人によるグループ活動など、今まであまり紹介されてこなかった活動は、この章で掘り下げていきます。


    第4章「美術グループと師弟関係」

    会場最後にはエピローグとして、戦前に活躍した美術家の1945年以降と、戦前に学び戦後に活躍した美術家の作品が紹介されています。日本の敗戦で朝鮮半島は植民地支配から脱したものの、異なる政治思想によって社会が分裂。大きな波を受けて時代に翻弄された美術家も少なくありません。

    李快大(イ・クェデ)は帝国美術学校に学び二科展でも入選している実力者ですが、朝鮮戦争中に捕虜になって収監。後に越北を果たしますが、粛清されたと伝えられます。曺良奎(チョ・ヤンギュ)は戦後、南朝鮮労働党の活動に加わったため官憲に追われて日本に密航、公募展や個展で活躍しますが1960年に北朝鮮へ。1967年以後の消息は分かっていません。


    エピローグ

    狭い海峡を挟んで、まさに一衣帯水といえる日韓両国。先人の足跡を検証しつつ、次の時代に向けて関係を深化させるのは、今を生きる私たちの使命です。

    神奈川展の後は新潟、岐阜、北海道、宮崎、福岡と巡回します。日にちと会場はこちらをご覧ください
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年4月22日 ]

    るるぶ韓国 ソウル・釜山・済州島'16るるぶ韓国 ソウル・釜山・済州島'16

     

    ジェイティビィパブリッシング
    ¥ 1,026

     
    会場
    会期
    2015年4月4日(土)~2015年5月8日(金)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:00(入館は16:30まで)
    休館日
    月曜日(ただし5月4日は開館)
    住所
    神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1
    電話 046-875-2800
    公式サイト http://www.moma.pref.kanagawa.jp/public/ExhibitionNow.do?hl=h
    料金
    一般 1000円(900円)/20歳未満・学生 850円(750円)/65歳以上500円/高校生100円
    *( )内は20名以上の団体料金です。
    *中学生以下、障害者手帳をお持ちの方は無料です。

    展覧会詳細 「ふたたびの出会い 日韓近代美術家のまなざし―『朝鮮』で描く」 詳細情報
    おすすめレポート
    学芸員募集
    歴史的建造物と庭園で働きたい方を募集! [東山旧岸邸]
    静岡県
    阪神甲子園球場職員(歴史館担当) [阪神甲子園球場(兵庫県西宮市、阪神電車「甲子園駅」徒歩3分)]
    兵庫県
    【R8.4採用】金沢美術工芸大学 非常勤職員(美術館事務員)の募集について [公立大学法人 金沢美術工芸大学]
    石川県
    杉並区立郷土博物館 学芸員募集 [杉並区立郷土博物館または杉並区立郷土博物館分館]
    東京都
    【パート★扶養内OK】ムラーボ!(子供向け体験型施設)案内スタッフ 募集! [横浜市西区みなとみらい4丁目3-8(ムラーボ!)]
    神奈川県
    展覧会ランキング
    1
    国立新美術館 | 東京都
    ルーヴル美術館展 ルネサンス
    開催まであと244日
    2026年9月9日(水)〜12月13日(日)
    2
    府中市美術館 | 東京都
    長沢蘆雪
    開催まであと65日
    2026年3月14日(土)〜5月10日(日)
    3
    アーティゾン美術館 | 東京都
    クロード・モネ -風景への問いかけ
    開催まであと30日
    2026年2月7日(土)〜5月24日(日)
    4
    東京都美術館 | 東京都
    スウェーデン絵画 北欧の光、日常のかがやき
    開催まであと19日
    2026年1月27日(火)〜5月12日(火)
    5
    あべのハルカス美術館 | 大阪府
    ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち ヴァルラフ=リヒャルツ美術館所蔵
    開催まであと177日
    2026年7月4日(土)〜9月9日(水)