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    レポート
    いぬ・犬・イヌ
    渋谷区立松濤美術館 | 東京都
    たぶん101匹以上、ワンちゃんが大集合
    イヌ派の皆さん、お待たせいたしました。昨年春に「ねこ・猫・ネコ」展を開催した渋谷区立松濤美術館、ちょうど一年後の企画は、やっぱりコレです。人間の最も古くからの友、美術でも多彩な表現が見ものです。
    (左手前)朝倉文夫《スター》台東区立朝倉彫塑館
    《犬形埴輪/猪形埴輪》天理市教育委員会
    (左から)戸張狐雁《雪の日やあれも人の子樽拾い》愛知県美術館 / 渡辺幽香《植木棚の少女》東京国立博物館
    国井応文、望月玉泉 合筆《花卉鳥獣図巻》京都国立博物館
    (左から)岡本勝元《狗子》東京藝術大学 / 山本春挙《狗子図》東京藝術大学
    (左から)三畠上龍《犬と美人図》熊本県立美術館 / 狩野芳崖《毛利鏻姫像》下関市立美術館
    (左から)長谷川等意《洋犬図》 / 作者不詳《洋犬図(双幅)》
    (左から)波多野等有《洋犬図屏風》滋賀県立琵琶湖文化館 / 長谷川等意《狗鷹図(双幅)》
    (左から)斎藤五百枝《絵本「桃太郎」原画》株式会社講談社 / 鰭崎英朋《絵本「花咲爺」原画》株式会社講談社 / 作者不詳《西郷隆盛肖像》霊山歴史館
    古くから家畜化され、人に最も近い動物といえるイヌ。日本でも古墳時代にも埴輪が象られるなど、古くから絵画や彫刻で表現されてきました。本展はその埴輪も含め、近世・近代、そして現代の画家や彫刻家によるイヌの作品まで、約90点を紹介していきます。

    大きな屏風は、江戸時代に描かれた《犬追物図屏風》。騎馬の武士が犬を射る伝統的な訓練ですが、現代の感覚だとちょっとかわいそうにも思えます。

    他にも掛軸や絵巻から小さな根付まで、さまざまに表現されたイヌが揃っています。


    展示室入口から

    展示室の中ほどには肉筆浮世絵の美人画が3点、いずれも狆(ちん)と美人が描かれています。狆は日本固有の小型犬。愛玩用の座敷犬として人気がありました。

    あまり聞かなくなりましたが、「ちんくしゃ」は狆がくしゃみをしたような顔の事で、不美人の形容詞。狆が一般的に親しまれていた名残といえます。


    狆(ちん)と美人

    上階に上がると、洋犬が紹介されています。安土桃山時代から近世にかけて日本に渡来した洋犬。それまでの日本のイヌは放し飼いだったため、首輪を紐で結ぶ姿も珍しかったようで、首輪を付けた姿でしばしば描かれています。

    堂々としたブロンズ像は、大正時代の警察犬をモデルにした《スター》。作者の朝倉文夫は愛猫家で知られますが(「ねこ・猫・ネコ」展にもたくさん出品されていました)、イヌや兎、牛、猿なども作っています。

    このフロアには、特別出品作品も。中島千波と畠中光亨の両氏によるイヌを描いた新作です。


    2階は洋犬の数々

    渋谷のイヌといえば、忠犬ハチ公。ハチの飼い主は松濤に住んでいたため、おそらく美術館のそばも散歩していた事と思われます。展示されているのは初代ハチ公像の試作像(現在のハチ公像は二代目)です。

    日本のおとぎ話にも、イヌはしばしば登場します。桃太郎では家来に、花咲爺では幸運をもたらす存在として、人に近い立場で登場する事が多いようです。

    イヌを連れた姿で銅像にまでなったのが、西郷隆盛。像と絵ではイヌの種類が違うように見えますが(2頭連れた絵もあります)、西郷さんは20頭あまりのイヌを飼っていたそうです。


    著名なイヌも

    展覧会の担当は「ねこ・猫・ネコ」展と同じ渋谷区立松濤美術館の味岡義人上席研究員。味岡さんの好みが気になるところですが、意外にも「猫派でも犬派でもなく、さらに言えば、鳥獣虫魚いずれも触るのもためらう質」(展覧会公式図録より)との事です。

    自分で撮影した犬の写真を持参すると入館料が2割引きになる「ポチ割」も実施中です。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年4月14日 ]

    ※会期中に一部展示替えがあります。

    忘れられない犬がいる。忘れられない犬がいる。

    SPMX with 美樹 (著)

    ぴあ
    ¥ 1,404

     
    会場
    会期
    2015年4月7日(火)~5月24日(日)
    会期終了
    開館時間
    特別展期間中:午前10時~午後6時(金曜のみ午後8時まで)
    公募展・小中学生絵画展・サロン展期間中:午前9時~午後5時
    最終入館はいずれも閉館30分前までです。
    休館日
    4月13日(月)、20日(月)、27日(月)、5月7日(木)、11日(月)、18日(月)
    住所
    東京都渋谷区松濤2-14-14
    電話 03-3465-9421
    公式サイト http://shoto-museum.jp/
    料金
    一般 1,000円(800円)/大学生 800円(640円)/高校生・60歳以上 500円(400円)/小中学生100円(80円)
    ※( )内は団体10名以上。
    ※毎週金曜日、渋谷区民は無料。(在住がわかる書類をお持ちください)
    ※土・日曜日、祝・休日、夏休み期間は、小中学生無料。
    ※障がいのある方(付添の方1名)は無料
    展覧会詳細 いぬ・犬・イヌ 詳細情報
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