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    レポート
    キューバの映画ポスター
    国立映画アーカイブ | 東京都
    勝新「座頭市」も、手作りポスターで
    カリブの島国、キューバ。葉巻やコーヒーは良く知られていますが、映画ポスター大国でもある事はご存じでしょうか。著名な作家を起用し、独特な手法で作られた映画ポスター85点を紹介する企画展が、東京国立近代美術館フィルムセンターで開催中です。
    (左から)《ルシア》ポスター:ラウル・マルティネス / 《最後の晩餐》ポスター:レネ・アスクイ・カルデナス
    (左から)《怒りのキューバ》ポスター:レネ・ポルトカレーロ / 《ファン・キンキンの冒険》ポスター:エドゥアルド・ムニョス・バッチ
    (左から)《あるところまで》ポスター:レネ・アスクイ・カルデナス / 《エルピディオ・バルデス》原画:ファン・パドロン デザイン:エルネスト・パドロン
    第1章「キューバ映画のポスター」
    (右)《座頭市兇状旅》ポスター:アルフレド・ゴンザレス・ロストガルド
    (左から)《土忍記 風の天狗》ポスター:アントニオ・フェルナンデス・レボイロ / 《デルス・ウザーラ》ポスター:レネ・アスクイ・カルデナス
    第2章「世界各国の映画のポスター」
    (左から)《シネマテカ・デ・クーパ(キューバ国立映画保存所)》ポスター:ラファエル・モランテ・ボエリーゾ / 《第1回 新ラテンアメリカ映画祭 チカーノ映画特集》ポスター:フリオ・エロイ・メサ / 《国際映画ポスター展》ポスター:エドゥアルド・ムニョス・バッチ
    (左右とも)《第13回 新ラテンアメリカ国際映画祭》原画:ロベルト・マッタ
    映画ポスターを紹介する展覧会を、過去にも何回か開催してきた東京国立近代美術館フィルムセンター。近年では2013年の「チェコの映画ポスター展」も記憶に新しいところです。

    展覧会の第1章は「キューバ映画のポスター」。革命から間もなく、国立の映画芸術産業庁(ICAIC)を設立したキューバ。イタリアで映画を学んだ監督が先鋭的な映画を生み出し、ラテンアメリカ有数の映画大国となりました。

    映画への情熱は宣伝にも向けられ、魅力的なイラストを描くエドゥアルド・ムニョス・バッチ、少ない色数での表現を得意としたレネ・アスクイ・カルデナスなどを起用。個性的なポスターが次々に誕生しました。

    キューバの映画ポスターの大きな特徴が、その制作方法。なんとオフセット印刷ではなく、シルクスクリーンで作られています。手間がかかり量産には不向きのシルクスクリーンを国の映画産業の方針として採用しているのは、世界でキューバだけです。


    第1章「キューバ映画のポスター」

    第2章は「世界各国の映画のポスター」。革命で社会主義陣営の一員となったキューバにはソ連や東欧諸国の映画が増えますが、60年代後半からは娯楽映画の輸入が再び拡大。その際、アメリカの西部劇に代わって人気を博したのが、日本の時代劇でした。

    世界的に評価が高い黒澤明作品が支持され、三船敏郎が人気になったのは他の国でも同様ですが、ちょっと意外なのが「座頭市」人気。実に16本もの座頭市シリーズが公開されています。主演の勝新太郎は1975年にキューバを訪問、熱狂的な歓迎を受けました。

    ちなみにスペイン語で座頭市は「Masajista Ichi(マサヒスタ・イチ)」。すなわち「マッサージ師・市」です。


    第2章「世界各国の映画のポスター」

    第3章は「キューバの映画界から」。キューバの首都・ハバナでは1979年から新ラテンアメリカ国際映画祭(ハバナ映画祭)がスタート。海外での上映や映画保存活動にも積極的で、ラテンアメリカ全体の映画界を見すえた活動は特筆されます。

    この章にはチャップリンがあしらわれたポスターが展示されています。キューバで上映施設が整っていなかった時代に、移動式の映画館で上映されていたのがチャップリン映画。そのためキューバでは、チャップリンは映画そのもののアイコンでもあります。


    第3章「キューバの映画界から」

    キューバのポスターは旧西側諸国とは趣きが異なりますが、旧ソ連・東側陣営とも一線を画した独特のテイスト。カリブの気候と風土が、ポスターデザインにも色濃く現れているように感じました。一時期ほどの隆盛はなくなったとはいえ、シルクスクリーンによる映画ポスター制作も未だに健在との事です。

    1月16日(土)から2月28日(日)までの土・日には、関連上映企画「キューバ映画特集 革命映画から映画革命へ」も開催されます。[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年1月8日 ]

    TOKYO美術館2015-2016TOKYO美術館2015-2016

     

    エイ出版社
    ¥ 999


    ■キューバの映画ポスター に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年1月7日(木)~3月27日(日)
    会期終了
    開館時間
    ◆長瀬記念ホール OZU・小ホール
    <開映時間>
    作品によって開映時間が異なります。
    詳細はHP、またはハローダイヤルにお問い合わせ下さい。

    ◆展示室11:00~18:30(入場は18:00まで)
    ◆図書室12:30~18:30(入室は18:00まで)
    ※新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、当面の間、土曜日も閉室としております。
    休館日
    月曜日
    住所
    東京都中央区京橋3-7-6
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.momat.go.jp/fc/exhibition/cubanposter/
    料金
    一般210円(100円)/大学生・シニア70円(40円)/高校生以下及び18歳未満、障害者(付添者は原則1名まで)、MOMATパスポートをお持ちの方、キャンパスメンバーズは無料
    *料金は常設の「NFCコレクションでみる 日本映画の歴史」の入場料を含みます。
    *( )内は20名以上の団体料金です。
    *学生、シニア(65歳以上)、障害者、キャンパスメンバーズの方はそれぞれ入室の際、証明できるものをご提示ください。
    *フィルムセンターの上映企画をご覧になった方は当日に限り、半券のご提示により団体料金が適用されます。
    展覧会詳細 キューバの映画ポスター 詳細情報
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