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レポート
生誕150年記念 水野年方 ~芳年の後継者
太田記念美術館 | 東京都
最初で最後?の大規模展
昨今は大人気の歌川国芳、その弟子は血みどろ絵で知られる月岡芳年、ひとり飛ばして孫弟子が美人画の鏑木清方。間に入るのが、水野年方です。前後に比べると今ひとつ影が薄い水野年方ですが、その実力は文芸誌の売れ行きを左右するほど。決して侮ってはいけません。初の大規模展が太田記念美術館で開催中です。
(左から)水野年方《漁する童》 / 水野年方《野婦》
(左から)水野年方《清仏戦闘之図》 / 水野年方《和漢十六武者至 水滸伝九紋竜史進》
水野年方《婦有喜倶菜》
(左から)《三十六佳撰 辻君 応仁頃婦人》 / 水野年方《三十六佳撰 菖蒲 延宝頃婦人》
水野年方《美人奇石会縦覧之図》
(左手前から)水野年方《三十六佳撰 虫の音 寛延頃婦人》 / 水野年方《三十六佳撰 卯月 延亨頃婦人》
水野年方《於威海衛附近我海陸戦隊決死七勇士先鋒上陸之図》
水野年方《三井好 都のにしき 愛犬》
国芳 → 芳年 → 年方 → 清方と、一文字ずつ継いでいるので、覚えやすい国芳から清方までの流れ。清方の門人には伊東深水や川瀬巴水らも連なるので、この系譜は日本の近代美術において大水脈といえますが、なぜかスルーされる事が多いのが水野年方です。単発的に作品が紹介される事はあっても、作品をまとめて展示する機会はこれまでありませんでした。

今年はちょうど生誕150年のメモリアルイヤー。展覧会を担当した太田記念美術館 主席学芸員の日野原健司さんに、企画の意図と見どころを解説していただきました。


太田記念美術館 主席学芸員の日野原健司さん

日野原さんに詳しく説明していただきましたが、年方の十八番といえる美人画について、再度ご紹介したいと思います。

「茶の湯日々草」は、茶事の流れを絵で紹介する揃物。それまで男性のものだった茶道は、近代に入って女性の礼法に組み入れられます。年方は教養として身に着けるべき所作を、気品溢れる女性の姿で描きました。

「今様美人」は、女性の月ごとの風俗を描いた揃物。「三井好 都のにしき」は、三井呉服店(三越の前身)の広告。描かれている装いは時代が求めていた日本女性の姿で、今ならファッショングラビアといえるもの。清楚で理知的、いかにも大和撫子という女性を描かせたら天下一品でした。


天下一品の美人画

日野原さん曰く「ひょっとしたら最初で最後の大規模展かも」との事。その実力に比べるとやや寂しく思えますが、少なくとも近々行われる事はなさそうです。もし美術ファンを自称している方なら、この手の展覧会を見逃すときっと後悔します。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年11月3日 ]

ようこそ浮世絵の世界へ 英訳付ようこそ浮世絵の世界へ 英訳付

日野原 健司 (著), 太田記念美術館 (監修)

東京美術
¥ 2,160


■水野年方 に関するツイート


 
会場
会期
2016年11月4日(金)~12月11日(日)
会期終了
開館時間
10:30~17:30(入館17:00まで)
休館日
月曜日休館
住所
東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話 03-5777-8600
公式サイト http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/exhibition/mizuno-toshikata161112
展覧会詳細 生誕150年記念 水野年方~芳年の後継者 詳細情報
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