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    レポート
    没後150年記念 菊川英山
    太田記念美術館 | 東京都
    知られざる美人画の名手
    浮世絵好きの方でも、菊川英山の名前を知っている人は多くないと思います。前の時代に喜多川歌麿、後の時代に渓斎英泉らと、美人画の名手に挟まれた文化期(1804~1818)に活躍した、知られざる美人画の名手。東京では32年ぶりの大規模展が、太田記念美術館で開催中です。
    (左手前から)《せい桜むたま川のうち むさし 大文字屋内 ひともと》文化後期(1813-18)頃 日本浮世絵博物館蔵 / 《青楼むたま川のうち 津の国 松葉屋内 かつみ》文化後期(1813-18)頃 個人蔵
    (左から)《雪月花図》文化後期(1814-18)頃 東京国立博物館蔵 / 《品川遊女図》文化後期(1814-18)頃 東京国立博物館蔵
    (左から)《江都砂子香具屋八景 玉井の落雁》文化3年(1806)8月 個人蔵 / 《青楼名君花合 丁子屋内 丁山 錦戸》文化5年(1808)5月 太田記念美術館蔵
    (左から)《江戸仕入むらさきもよう ゑひすやそめ 火熨斗》文化4-6年(1807-09)頃 個人蔵 / 《風流みさをくらへ 染模様妹背ノ門松 お染》文化4-6年(1807-09)頃 個人蔵
    《男女図 扇》文化4-6年(1807-09)頃 個人蔵
    《風流酒戯三美人》文化11年(1814)8月三枚続 日本浮世絵博物館蔵
    (左から)《風流六玉川 陸奥 千鳥の玉川》文化8-11年(1811-14)頃 日本浮世絵博物館蔵 / 《風流あやつり人形 あんじゆ姫 山庄太夫》文化11-14年(1814-17)頃 個人蔵
    (左上から)《三味線箱にもたれる美人》文化11-14年(1814-17)頃 太田記念美術館蔵 / 《風流浄瑠理踊尽 好偕川傍柳》文化11-14年(1814-17)頃 太田記念美術館蔵
    《扇屋と玉屋の遊女》文化末(1816-18)頃 日本浮世絵博物館蔵
    展覧会担当の学芸員・赤木美智さんも「渓斎英泉の師、と知っていれば十分」と語るように、メジャーとは言えない菊川英山。没後150年を記念した本展では、前後期あわせて205点で英山の画業を振り返ります。

    まずは第1章「肉筆画の世界」。艶やかな美人を丁寧に描いた英山の肉筆画。当時は評価が高く、諸侯に命じられて描いた作品もあります。

    第2章「英山登場 ─ 歌麿を継ぐ絵師 ─」では、比較的早い時期の作品が紹介されます。

    美人画の大家・喜多川歌麿が亡くなったのは、文化3(1806)年。大衆の要望に応え、英山もしばらくは歌麿風の美人画を描いていましたが、徐々に独自の作品も増えていきます。


    第1章「肉筆画の世界」、第2章「英山登場 ─ 歌麿を継ぐ絵師 ─」

    第3章は「花開く英山美人 ─ 雅と俗のはざま ─」。文化年間の中期から、英山は独自の画風を確立させます。

    北斎に倣った作品など試行錯誤の末にたどり着いたのが、6頭身の美女。それまでの長身美女と比べると、実際の人間に近いスタイルといえます。容貌も温和で、親しみやすさも特徴的です。


    第3章「花開く英山美人 ─ 雅と俗のはざま ─」

    第4章は「花開く英山美人 ─ 青楼の女たち ─」。英山の美人画で、特に目を引くのが遊女を描いた作品。「青楼六玉川」は代表的な作品で、実在した高位の遊女を華麗に描きました。展覧会では前後期で3点ずつ展示されます。

    第5章は「新たな女性像と次代へのかけはし」。英山の美人は時代が下ると、瞳の黒目が多くなり、背丈もやや低くなるなど、スタイルも変化。ただ、この時期は渓斎英泉や歌川国貞など、次代の絵師に人気が移っていきます。英山は文政末頃には、版画制作から手を引いています。


    第4章「花開く英山美人 ─ 青楼の女たち ─」、第5章「新たな女性像と次代へのかけはし」

    本展には保存状態が良い日本浮世絵博物館(長野・松本市)の英山コレクションが23点も出品。退色しやすい青色が残っている作品が多く、英山の美しい美人画をさらに華やかに見せてくれます。

    11月3日(金・祝)~26日(日)の前期と、12月1日(金)~20日(水)の後期で、全作品が展示替え。200円引きのリピーター割引も実施中です。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年11月2日 ]

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    公益財団法人アダチ伝統木版画技術保存財団 (監修)

    インプレス
    ¥ 1,620


    ■菊川英山 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2017年11月3日(金)~2017年12月20日(水)
    会期終了
    開館時間
    10:30~17:30(入館17:00まで)
    休館日
    11月6、13、20、27~30日、12月4、11、18日
    住所
    東京都渋谷区神宮前1-10-10
    電話 03-5777-8600
    公式サイト http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/
    料金
    一般 1,000円、大高生 700円、中学生以下 無料
    展覧会詳細 没後150年記念 菊川英山 詳細情報
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