世界遺産になった富士山を後世に守り伝えていく拠点施設として整備された、静岡県富士山世界遺産センター。立地はJR富士宮駅近く、富士山本宮浅間大社の南側です。
(株)坂茂建築設計が手掛けた建物は、かなりのインパクトです。逆円錐形の建物は「逆さ富士」をイメージしており、手前の広大な水盤に、建物が富士山の形になって映り込みます。
「逆さ富士」の内部は展示棟で、螺旋状のスロープを上っていく動線。壁面には富士登山道の風景が美しい映像で投影され、1階から5階まで、全長193mのスロープを上る事で、富士登山を疑似体験しながら進みます。
上りきった最上階のホールとテラスは、絶景の撮影スポットです。周辺の構造物に遮られない、まさに絵に描いたような富士山をご覧いただけます。
後半は、スロープを下りながら展示ゾーンをまわっていきます。
火山としての富士山の姿を示す「荒ぶる山」、富士山への信仰をテーマにした「聖なる山」、美術や文学に表された富士山「美しき山」、高山帯から駿河湾までの生態系を紹介する「育む山」、人と富士山の未来について考える「受け継ぐ山」、という流れ。
それぞれのゾーンでも美しい映像やタッチパネルなどが設置されています。日本人なら誰でも知っている富士山を、さらに深く、そして楽しく、多角的に理解する事ができます。展示は(株)丹青社です。
2階には74席の映像シアターもあり、4K映像で富士山の自然や文化を紹介。企画展示室では富士山を題材にした絵画展などが行われ、開館記念展は「富士山の曼荼羅 ~参詣曼荼羅にみる富士山信仰の世界~」です(2月12日まで)。
浅間大社の参拝とあわせて、富士山をより身近に感じる事ができる新施設。有名なご当地グルメ「富士宮やきそば」も、すぐ近くの「お宮横丁」をはじめ、近隣の各所でお楽しみいただけます。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年12月14日 ]■静岡県富士山世界遺産センター に関するツイート