会場中央には2つのケースがシンメトリーに並べられ、2体の実物縄文人骨が展示されています。1体は男性、もう1体は女性の骨です。
人骨のまわりに展示されている写真は、通常の記録用写真とはかなり趣きが異なります。
仰向けに寝た縄文人骨を真横から撮った写真、歯のアップの写真…。人類学に基づいた説明もさることながら、写真の迫力に目を奪われます。
縄文人骨が並ぶ会場本展の企画は、グラフィックデザイナーの佐藤卓さん。「ロッテ・キシリトールガム」「明治おいしい牛乳」などの商品デザインなどで知られる佐藤卓さんは、国立科学博物館のシンボルマークも担当。博物館の収蔵庫で縄文人骨を見た際に、この企画を思いついたそうです。
撮影は、多くの広告写真で活躍している写真家の上田義彦さん。自身の家族を写した「at Home」、東京大学総合博物館の標本コレクションを撮影した「CHAMBER of CURIOSITIES」など、作品集も数多く手がけています。
骨の写真に囲まれた中で、2枚だけ海の写真があります。これは、骨が発掘された場所の海を写したもの。縄文人が生きていた時代の感覚を共有するために、上田さんのアイデアで盛り込まれました。
海の写真も展覧会にあわせ、美術出版社から写真本「JOMONESE」も刊行予定。考古好きだけではなく、デザイン好きの注目も集めそうです。(取材:2012年4月23日)
| | JOMONESE
佐藤 卓(総合企画) (著), 篠田 謙一(国立科学博物館 人類研究部) (著), 坂上 和弘(国立科学博物館 人類研究部) (著), 伊藤 俊治 (著), 上田 義彦 (写真) 美術出版社 ¥ 12,600 |