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    レポート
    横山大観展 ─ 良き師、良き友
    横浜美術館 | 神奈川県
    師・友との交流に着目
    東京国立近代美術館で開催中(10月14日まで)の竹内栖鳳展は、大きな話題を呼んでいます。近代日本画の両巨星といえば、西の栖鳳に対し、東はもちろんこの人です。
    横山大観《秋色》1917(大正6)年
    横山大観《村童観猿翁》1893(明治26)年
    平櫛田中《岡倉天心胸像》1931(昭和6)年
    (左から)横山大観《老君出関》1910(明治43)年 / 横山大観《山路》1911(明治44)年頃
    横山大観《雲去来》1917(大正6)年
    横山大観・下村観山・今村紫紅・小杉未醒(放菴)合作《東海道五十三次絵巻》(第七巻)1915(大正4)年
    (左から)小杉未醒(放菴)《水荘訪客》1918(大正7)年 / 横山大観《月下逍遥》1920(大正9)年 / 今村紫紅《月明り》1914(大正3)年頃
    山口晃さんによる肖像画。(左から)岡倉天心、横山大観、(上段左から)今村紫紅、小杉未醒(放菴)、(下段左から)小川芋銭、冨田溪仙
    会場入口
    展覧会は年代順に3章構成。天心に出会った明治期、天心没後の大正時代の交流関係、大正末期~昭和初期の円熟期と進みます。

    第1章は「良き師との出会い:大観と天心」。大観は入学した東京美術学校で生涯の師となる岡倉天心に出会い、天心が東京美術学校校長から排斥された「美術学校騒動」では天心と行動をともにします。

    従来の線描重視から離れた大観の挑戦は「朦朧体」と揶揄され、貧苦を味わいないながらも研鑽を続けました。


    第1章「良き師との出会い:大観と天心」

    第2章は「良き友、紫紅、未醒(放菴)、芋銭、溪仙:大正期のさらなる挑戦」。本展で最多の作品が紹介されています。

    大観の交友関係といえば、これまでは菱田春草や下村観山など、ともに天心から教えを受けた仲間との関係が有名ですが、本展では今村紫紅、小杉未醒(放菴)、小川芋銭、冨田溪仙という大正期以降の交友関係に着目。

    芋銭以外の三人は大観よりかなり若輩ですが、大観は年齢に関係なく才能を認めた人々と交流しながら、自らの作風を発展させていきました。


    第2章「良き友、紫紅、未醒(放菴)、芋銭、溪仙:大正期のさらなる挑戦」

    展覧会メインビジュアル《秋色》(しゅうしょく)は、この章での紹介。大正6年の作品で、再興第4回院展に出品されました。

    左隻には寄り添う雌雄二匹の鹿。蔦の紅葉を表した緑と朱色が屏風全体に広がり、実に艶やかな作品です。


    横山大観《秋色》1917(大正6)年

    大観の交友関係にスポットを当てた本展にふさわしい作品が、大観と下村観山、今村紫紅、小杉未醒(放菴)による合作《東海道五十三次絵巻》です。

    彼らに表具師を加えた五名が、汽車に乗らずに人力車や馬車などで東海道を旅行、現地で写生をしながら各場面を描き継いで作りました。日本美術院の資金獲得を目的に、二組制作されています。


    横山大観、下村観山、今村紫紅、小杉未醒(放菴)による合作《東海道五十三次絵巻》1915(大正4)年

    そして3章が「円熟期に至る」。長い研究の末にさまざまな技法を身に着けた大観は、昭和期に入るとさらに充実。独特の世界観を確立していきました。

    4人の良き友は、小杉未醒以外は大観より先に亡くなりましたが、大観は晩年まで盟友たちの作品を手許に置いて愛でていたと伝えられています。


    3章「円熟期に至る」

    第一回文化勲章受章者でもある横山大観。その作品はとても人気があり、所蔵者が大切にしているため長期間の展示は難しく、本展も会期は44日間ながら展示替えが行われます。展示作品については公式サイトをご確認ください。

    なお、本展の音声ガイドを務めるのは竹中直人さん。松村克弥監督による映画「天心」で岡倉天心役を務めました。映画での横山大観役は中村獅童さん、こちらもぜひ。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年10月4日 ]

    気魄の人 横山大観

    別冊太陽編集部 (編集)

    平凡社
    ¥ 2,520

    料金一般当日:1,400円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2013年10月5日(土)~11月24日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    (入館は閉館の30分前まで)
    休館日
    木曜日休館
    住所
    神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.taikan2013.jp/
    料金
    一般 1,400(1,200/1,300)円/大学・高校生 1,100(900/1,000)円/中学生 500(300/400)円
    ※()内は前売/20名以上の団体
    ※前売券は9月2日(月)~10月4日(金)販売
    ※小学生以下無料
    ※毎週土曜日は高校生以下無料(要学生証、生徒手帳)
    ※障がい者手帳をお持ちの方と介護の方1名は無料
    ※本展観覧券で当日に限り横浜美術館コレクション展もご覧いただけます
    ※リピーター割引:観覧済みの横浜美術館企画展有料観覧券をご提示いただくと、団体料金でご覧いただけます(ご観覧された展覧会の最終日から1年間、1名様1回限り有効)
    ※会期中、展示替があります。
    展覧会詳細 横山大観展 ─ 良き師、良き友 詳細情報
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