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    レポート
    知られざるミュシャ展
    そごう美術館(横浜駅東口 そごう横浜店 6階) | 神奈川県
    チマル・コレクション、日本初公開
    高い人気があるミュシャの、日本初公開作品が多数来日。京都~広島~福井~名古屋とまわって、横浜までやってきた全国巡回展です。
    第5章「スラヴ民族の精神」
    (左から)《パリスの審判》 1895年 リトグラフ/カレンダー チマル・コレクション │ 《スラヴによる宣戦布告》 1888年 インディアンインク、淡彩/素描 ブルノ博物館-イヴァンチッツェ博物館
    アルフォンス・ミュシャ著『主の祈り』 1899年 リトグラフ/表紙、挿絵 ブルノ博物館-イヴァンチッツェ博物館
    第3章「演劇に魅せられて」
    《一日の四つの時、朝の目覚め、昼の輝き、夕べの夢想、夜の安らぎ》 1899年 リトグラフ/装飾パネル チマル・コレクション
    (左から)《三つの季節、春夏冬》 1898年 リトグラフ/装飾パネル チマル・コレクション │ 《来たる年》 1897年 リトグラフ/カレンダー チマル・コレクション
    さまざまなリトグラフやポストカード(右)
    (左から)《マリエ・ミュシャと子供たち、ヤロスラヴァとイジー、ズビロフ》 1919年 写真 チマル・コレクション │ 《ミュシャ、最後のポートレート、プラハ》 1937年 写真 チマル・コレクション
    会場入口には華やかなフラワーアレンジメントが
    展覧会の中核は、ミュシャの生まれ故郷であるチェコ・イヴァンチッツェ近郊の医師が所有するチマル・コレクション。ヨーロッパ国外に出るのもこれが初めてです。

    展覧会では初期の素描から晩年のデザインまで、幅広くミュシャの足跡を紹介していきます。

    まず1章は「旅の始まり」から。初期のミュシャは舞台装置の画家として働くほか、肖像画を描いて副収入を得ていました。写実的に仕上げられた作品も残されています。


    冒頭

    続いて2章「パリのイラストレーター」と3章「演劇に魅せられて」です。

    ミュシャが一躍脚光を浴びるようになったのは、大女優サラ・ベルナールの1895年正月公演用のポスター《ジスモンダ》(1894年)。その才能が認められ、ミュシャは5年契約でサラ・ベルナールの広告宣伝を担当するようになりました。

    「椿姫」は、サラ・ベルナールにとって最も重要かつ有名な演目。ミュシャが手がけたこのポスターは、ミュシャの演劇ポスターの中でもっとも美しい作品とも言われています。


    2章「パリのイラストレーター」、3章「演劇に魅せられて」

    演劇ポスターの最高傑作が《椿姫》なら、挿絵本の最高傑作とされているのが《主の祈り》。視覚化されたキリスト教の祈りの文への賛美を表したミュシャ自身による書で、モノクロームの素描からはその巧みな人物表現が見て取れます。


    ミュシャによる挿絵の最高傑作《主の祈り》

    4章は「ポスターと版画 ─ ミュシャ様式」。本展のメインともいえる章で、会場で最多の作品が並びます。

    成功して商業広告の仕事が増えたミュシャ。作品に登場する豊かな髪の渦は、アール・ヌーヴォーの象徴になりました。美しいそのスタイルは作家自身の名前をとって「ミュシャ様式」(ル・スティル・ミュシャ)と呼ばれ人々を魅了しました。


    4章「ポスターと版画 ─ ミュシャ様式」

    展覧会最後は第5章「スラヴ民族の精神」と、第6章「国家と人類愛のために」。ミュシャはチェコ人としてのアイデンティティを強く持ち続け、愛国心に溢れた多数の作品を残しています。

    最後にご紹介する油彩は《エリシュカ》。スラヴ女性の民族衣装を身に着けたミュシャの友人の娘を描いたもので、コレクション所有者であるチマル氏が最も高く評価している作品です。


    第5章「スラヴ民族の精神」、第6章「国家と人類愛のために」

    世界的に人気が高いミュシャですが、日本ではさらに特別。東京では今年3~5月にも「ミュシャ展-パリの夢 モラヴィアの祈り」が開催されて大いに話題を呼びました。本展も全国巡回展ですが、関東地方での公開はそごう美術館のみ。お見逃しなく。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年10月30日 ]

    そごう美術館の後には岡山シティミュージアム(2014年3月4日~3月30日)、パラミタミュージアム(2014年4月4日~5月18日)に巡回します。


     
    会場
    会期
    2013年10月19日(土)~12月1日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~20:00(入館は閉館の30分前まで)
    ※そごう横浜店の営業時間に準じる
    休館日
    そごう横浜店の休業日に準じる
    住所
    神奈川県横浜市西区高島2-18-1
    電話 045-465-5515
    公式サイト http://www2.sogo-gogo.com/common/museum/
    料金
    大人 1,000(800)円/大学・高校生 800(600)円/中学生以下無料
    ※()内は前売りおよび20名さま以上の団体料金
    ※障害者手帳をお持ちの方、および同伴者1名さまは()内料金にてご入館いただけます。
    展覧会詳細 知られざるミュシャ展 詳細情報
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