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    レポート
    特別展「台北 國立故宮博物院 -神品至宝-」
    東京国立博物館 | 東京都
    台湾でも並びます
    年間400万人の来館者を誇る台北 國立故宮博物院。宋・元・明・清時代の皇帝がコレクションした中華文明の精華の中から、選りすぐりの186件を紹介する待望の展覧会が、東京国立博物館で開催中です。
    《紫檀多宝格》清時代・乾隆年間(1736~1795)
    会場入口 左手前は《散氏盤》西周時代・前9~前8世紀
    (左から)《折檻図軸》南宋時代・13世紀 / 陳居中《文姫帰漢図軸》南宋時代・12世紀
    (左奥から)《七仏堆朱鉢》清時代・18世紀 / 《八宝文堆朱方勝形箱》清時代・18世紀
    会場
    孫過庭《草書書譜巻》唐時代・垂拱3年(687)
    (左奥から)《画琺瑯蟠龍瓶》清時代・雍正年間(1723~1735) / 《粉彩透彫雲龍文冠架》清時代・乾隆年間(1736~1795)
    景徳鎮窯《藍地描金粉彩游魚文回転瓶》清時代・乾隆年間(1736~1795)
    《翠玉白菜》清時代・18~19世紀
    大英博物館、ルーブル美術館、メトロポリタン美術館とあわせ、世界四大博物館とも称される台北 國立故宮博物院。収蔵品は69万点に及び、ここを抜きに中国の文化を語る事はできません。

    本展は、台北 國立故宮博物院の名品をアジアで初めて紹介する企画展。門外不出の名宝《翠玉白菜》(東京会場で期間限定展示)と《肉形石》(九州会場で期間限定展示)が出品されるという事もあり、開幕前から大きな話題となっていました。

    図録は序章・一章・二章・三章の構成ですが、東京展の会場は10エリア+別会場の《翠玉白菜》という導線。冒頭は古代中国の水器から始まり、陶磁器、書画、工芸品などずらりと並びます。


    内覧会も多くの人が訪れました

    もっとも優れた文物にのみ与えられる「神品」と称されるに相応しい逸品ばかりですが、いくつかピックアップしてご紹介しましょう。

    一辺25センチほどの紫檀製の小箱は《紫檀多宝格》。清朝最盛期の皇帝だった乾隆帝(けんりゅうてい)が、自身のコレクションを整理する過程で作らせた鑑賞用の宝箱です。

    箱の内部は陳列棚になっていて、小さな玉器や磁器をきっちりと収納。無駄な空間はほとんどありません。

    実は《紫檀多宝格》を紹介している展示室自体も、多宝格をイメージしています。囲まれた空間は正方形、上部は天を祀る玉壁を模した円形。鑑賞者自身が多宝格に入り込んだかのような構成です。


    《紫檀多宝格》清時代・乾隆年間(1736~1795)

    公式サイトでは「《翠玉白菜》《肉形石》につづく次世代アイドル」として紹介されているのが《人と熊》。平成館会場の最後に展示されています。

    《翠玉白菜》と同様に、素材の色を活かして加工・創作した「俏色(しょうしょく)」という手法。清時代の中後期に流行しました。

    白い部分を人物、黒い部分を熊と見立てて彫刻した《人と熊》。高さはわずか6cmですが、じっくり見ると熊の一部には毛並みまで彫り込まれています。


    《人と熊》清時代・18~19世紀

    そして《翠玉白菜》は、本館特別5室での展示です。台北 國立故宮博物院の最も有名な所蔵品のひとつで、現地でも連日長蛇の列ができるという逸品中の逸品です。

    写真では小ぶりに思えますが実物は意外に大きく、大人の手のひらぐらい(高さ18.7cm)。ただ奥行きはあまりなく、本物の白菜よりは平べったい印象です。

    翡翠(ひすい)なかでも選りすぐりの玉材を用い、素材の色をそのまま利用して巧みに彫刻。葉にはキリギリスがとまっています。白菜は純潔、バッタ類は多産を意味しています。

    葉脈もくっきりと浮かび上がるドラマチックな照明演出は、東京国立博物館ならでは。展示は7月7日(月)までのわずか2週間。混雑状況は公式サイトのツイートでご確認ください。


    《翠玉白菜》清時代・18~19世紀

    《翠玉白菜》はもちろんですが、それ以外もさすがは台北 國立故宮博物院。特に工芸品は目を見張るばかりです。東京展の後は九州国立博物館でも10月7日(火)〜11月30日(日)に開催。《肉形石》だけでなく、東京展に出展されないものも多数出展されます。できれば両展とも、制覇したいところです。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年6月23日 ]

    美術手帖7月号増刊 台北 國立故宮博物院

    美術手帖編集部 (編集)

    美術出版社
    ¥ 1,620

    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2014年6月24日(火)~9月15日(月)
    会期終了
    開館時間
    9:30~18:00
    ※総合文化展は17:00まで
    ※時期により変動あり
    いずれも入館は閉館の30分前まで
    休館日
    7月14日(月)、7月22日(火)、7月28日(月)、8月4日(月)、9月1日(月)、9月8日(月) *ただし、6月30日(月)、7月7日(月)、8月18日(月)、8月25日(月)は特別展会場のみ開館。総合文化展(本館、東洋館、法隆寺宝物館、平成館1階)は閉室いたします。
    住所
    東京都台東区上野公園13-9
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.taipei2014.jp/
    料金
    一般 1600円(1400円/1300円)/大学生 1200円(1000円/900円)/高校生 700円(600円/500円)
    中学生以下無料
    *( )内は前売り/20名以上の団体料金
    *障がい者とその介護者一名は無料です。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。
    展覧会詳細 特別展「台北 國立故宮博物院 -神品至宝-」 詳細情報
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