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    レポート
    ウルトラマン創世紀展 ―ウルトラQ誕生からウルトラマン80へ―
    横須賀美術館 | 神奈川県
    全国巡回の最終会場
    昭和の子どもたちを熱狂させたウルトラマンシリーズ。ウルトラQからウルトラマン80までを取り上げ、制作者の情熱と当時の社会文化をひもとく展覧会が、横須賀美術館で開催中です。
    (左から)《ウルトラの母 マスク》1973年 当時の撮影用 / 《ウルトラの父 マスク》1973年 当時の撮影用
    《ウルトラQ 台本》1966~67年 一部は旧タイトル「UNBALANCE」になっている
    (手前左から)《ウルトラセブン マスク》2005年頃 Dタイプを原型に再現されたBタイプマスクのレプリカ / 《ウルトラセブン マスク》2005年頃 Dタイプを原型に再現されたAタイプマスクのレプリカ / (奥)《アイスラッガー》当時の撮影用のレプリカ
    (左奥から)《ウルトラマンタロウ デザイン決定稿》1973年 / 《ウルトラの母 デザイン決定稿》1973年 / 《ウルトラの母》1973年
    (右手前)《ウルトラマンA マスク》1972年 当時の撮影用
    (左奥)《アストラ マスク》1974年 当時の撮影用マスクに忠実に制作されたレプリカ / (中央上段)《ウルトラマンレオ マスク》1974年 当時の撮影用 / (右手前)《ウルトラマンキング マスク》当時の撮影用のレプリカ
    (左から)《ユリアン マスク》当時の撮影用のレプリカ / 《ユリアン 頭部デザイン》1981年 / 《ウルトラマン80 マスク》1980年 当時の撮影用
    ソフトビニール人形
    (左から)《ウルトラQ ピーターとモングラー 巨大怪獣のひみつ》1966年 / 《ウルトラマン》1966年
    カネゴンやウルトラ兄弟が出迎えてくれる楽しいエントランス(このエリアは撮影可能です)。第1部「ウルトラ伝説の始まり」から会場はスタートします。

    「ゴジラ」(1954年、東宝)で世界を驚かせた「特撮の神様」こと円谷英二が、TBSと進めたSF特撮シリーズ「UNBALANCE」。各話で不可思議な事件を描く構想で撮影が始まりましたが、途中から怪獣路線に変更。タイトルも「ウルトラQ」に改題されました。

    「ウルトラQ」のヒットを受けて制作されたのが「ウルトラマン」。怪獣と互角に戦う正義の味方として生み出された、全く新しいスタイルのヒーローでした。続編の「ウルトラセブン」はさらにSF色を強化。大人も満足させる骨太のドラマが描かれました。


    第1部「ウルトラ伝説の始まり」

    第2部は「光の国を作った人々」、ウルトラマンシリーズに関わったクリエイター達が紹介されます。

    シュルレアリスム画家だった高山良策は、数多くの怪獣着ぐるみを制作。仏像修復などに関わっていた彫刻家の佐々木明は、ウルトラマン、飛行人形、各種プロップなどの立体造形を担当。池谷仙克は怪獣のデザインや美術で活躍しました。

    手本がどこにも存在しなかった、ウルトラマンの世界。クリエイターたちは想像力を駆使して、未知の世界を切り開いていきました。


    第2部「光の国を作った人々」

    第3部は「ウルトラ兄弟の誕生」。ウルトラセブンの終了から2年半。再放送が人気を呼び、新番組として「帰ってきたウルトラマン」が始まります。その翌年から立て続けに「ウルトラマンA」「ウルトラマンタロウ」「ウルトラマンレオ」と放映。5年のブランクの後に「ウルトラマン80」が制作されました。

    シリーズ化が進む中で、ウルトラマンの故郷である「M78星雲 光の国」や、「ウルトラの父」や「ウルトラの母」、そして「ウルトラ兄弟」というファミリーの概念も確立。それぞれの時代に沿った世界観を導入しながら、新たなファン層にアプローチしていきました。

    ウルトラマンシリーズは初期のインパクトが強い事もあって、この時期の作品は見逃されがちですが、再放送での視聴者も多く、この展示も初期作品と同様に人気を呼びそうです。


    第3部「ウルトラ兄弟の誕生」

    第4部は「ぼくらのヒーローウルトラマン」。ウルトラマンが子どもたちに支持された要因として、ソフビ人形や怪獣図鑑、雑誌などの影響は外せません。

    一般の家庭にはVTRも無かった時代。雑誌や玩具などの別媒体によって、ウルトラマンのイメージは広く定着していったのです。

    会場では若きクリエーターが手掛けたプラモの箱絵や雑誌グラビアなどを紹介。テレビとは造形の細部が違う作品も見られ、描き手ごとの得意分野もよく分かります。


    第4部「ぼくらのヒーローウルトラマン」

    ちなみに、会場途中にはちょっと怖い演出も。動線に沿って進むと、死角となる場所に何の案内も無くケムール人が立っています。

    背後から光が差し込んで、逆光の中に直立するケムール人。気が弱い方は、お気を付けください。


    壁の向こうに進むと…

    展覧会は全国巡回。2012年の新潟を皮切りに群馬、広島、愛知、北海道、滋賀、静岡、福岡とまわって横須賀美術館が最終会場となります。期間は夏休みいっぱい、お子さんと一緒にお楽しみください。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年6月29日 ]

    ©円谷プロ


     
    会場
    会期
    2015年6月27日(土)~8月30日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00 
    駐車場 8:00~22:00
    休館日
    7月6日(月)、8月3日(月)
    住所
    神奈川県横須賀市鴨居4丁目1番地
    電話 046-845-1211(代表)
    公式サイト http://www.yokosuka-moa.jp/exhibit/kikaku/1502.html
    料金
    一般 1000(800)円/高大・65歳以上 800(640)円/中学生以下無料
    *()内は20名以上の団体料金 *市内在住または在学の高校生は無料 *身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方と付添1名様は無料
    展覧会詳細 ウルトラマン創世紀展 ―ウルトラQ誕生からウルトラマン80へ― 詳細情報
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