鎌倉仏教の先駆者で、浄土宗の宗祖である法然(1133~1212)。法然の弟子で、後に浄土真宗の宗祖となる親鸞(1173~1262)。本年は法然800回忌、親鸞750回忌が重なる浄土教の節目の年です。
両宗派の全面的な協力を得て開催される本展には、国宝・重要文化財94件を含む一級の美術品約190件が出品されています。
プロローグから展示場へ法然は13歳で出家。承安5年(1175)43歳のとき、ただひたすらに阿弥陀如来の名をとなえる「専修念仏」で、すべての人々は平等に極楽往生できると説きました。
法然の教えは支持を集めましたが、教えが広まるにつれ比叡山から抗議を受けます。後には後鳥羽上皇が寵愛していた二人の女官が無断で出家するという大事件がおこり、法然は四国へ流罪となってしまいます。1211年に帰京が許されましたが、翌年に80歳で亡くなりました。
法然は緑、親鸞は青で色分けされています法然の40歳年下である親鸞は、9歳で出家。比叡山で20年の修行を積みましたが、悟りを得ることができませんでした。ある日、夢のなかで聖徳太子の言葉を授かり、法然を訪ねて専修念仏に帰依。たとえ地獄におちようとも、法然の教えを信じて念仏をすると決断しました。
法然と同じく1207年に流罪となって越後に。赦免後には関東各地で20年にわたる布教活動を行い、京都に戻った後も真摯な研鑽を続けました。
第4章「信仰の広がり」会場は「人と思想」「伝記絵に見る生涯」「法然と親鸞をめぐる人々」「信仰の広がり」の4章構成です。
「法然と親鸞の関係を分かりやすく展示することを目指した」という本展では、会場プロローグで両人の歩みや教えを簡潔に紹介するコーナーを設置。展示物も法然の資料は緑で、親鸞は青で色分けして展示されており、行き届いた構成は好印象です。
重文 阿弥陀如来立像 浄土宗蔵◇法然の一周忌供養にあわせて、弟子の源智が造った法然と親鸞が活躍した時代は、ちょうど貴族による支配から武家社会に変わった転換期。一部の富裕層(貴族)だけでなく全ての人の救済を目指したふたりの教えは、大きな支持を集めました。大震災に見舞われ、私たちもまた時代の転換期を迎えようとしています。ふたりの教えや生き様は、現在の私たちの目にはどう映るでしょうか。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年10月24日 ]