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    レポート
    「1968年」-無数の問いの噴出の時代-
    国立歴史民俗博物館 | 千葉県
    社会運動の高揚期の記憶
    公民権運動、フランス五月革命、プラハの春と、世界レベルで大きな社会的抗議運動が起こった1968年。日本でも多様な住民運動が起こり、様々な「問い」が投げかけられました。現在に繋がる社会運動の萌芽に着目した興味深い企画展が、国立歴史民俗博物館で開催中です。
    第1部【第1章】平和運動の展開:ベトナム反戦とベ平連運動
    会場入口(第1部)
    第1部【第1章】平和運動の展開:ベトナム反戦とベ平連運動
    第1部【第3章】戦後民主主義と戦後農政への問い:三里塚闘争
    第1部【第4章】経済成長と豊かさへの問い:熊本水俣病闘争
    第1部【第5章】住民運動の噴出とその問い:横浜新貨物線反対運動
    会場入口(第2部)
    第2部【第2章】全共闘運動の形成と展開
    第2部【第2章】全共闘運動の形成と展開
    日本の歴史と文化について総合的に研究・展示する国立歴史民俗博物館。戦後の社会運動については常設展(総合展示)の第6室でも紹介されていますが、3年前に東大闘争と日大闘争の資料を受け入れた事を期に、「1968年」を中心とした企画展としてまとめられました。

    展示は2部構成で、第1部は「「平和と民主主義」・経済成長への問い」。大きく紹介されているのが「ベ平連」(ベトナムに平和を!市民連合)です。中央の組織をもたず、各地で自発的に発足したベ平連。フォークソングなど若者文化も取り入れ、大きなうねりになりました。

    空港建設という国策に、地域の農民が集落ぐるみで対峙した三里塚闘争。素朴な抗議活動から新左翼を巻き込んだ闘争へと激化。成田空港が死者を含む暴力を経て開港した事を知らない世代も増えてきました。反対同盟農家の子どもによる「少年行動隊」の資料は胸に迫ります。


    第1部「「平和と民主主義」・経済成長への問い」

    第2部は「大学という「場」からの問い―全共闘運動の展開」。日本の大学生は1965年に初めて100万人を突破。1960年代末に、日本の学生運動は大きな高まりを迎えます。

    全共闘(全学共闘会議)は各大学に組織されましたが、規模も影響力も大きかったのが日大全共闘と東大全共闘。経理不正問題(日大)、学生処分問題(東大)に端を発し、日大はバリケード闘争、東大では安田講堂占拠と運動は拡大していきました。

    東大・日大での動きは、全国に波及。北海道大学、弘前大学、広島大学などの学生運動の資料も展示されています。

    その後、学生運動は急激に鎮静化。全共闘の問題意識は後の運動にも影響を与えていますが、その評価は一様ではありません。


    第2部「大学という「場」からの問い―全共闘運動の展開」

    印刷物を中心とした資料が多いため会場風景は派手ではありませんが、相当に密度が濃い企画展です。リアルタイムで体験したシニアの方も、映像や文献でしか見た事が無い若い方も、腹を据えてどうぞ。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年10月10日 ]

    1968年に日本と世界で起こったこと1968年に日本と世界で起こったこと

    毎日新聞社 (編集)

    毎日新聞社


    ■歴史民俗博物館 1968年 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2017年10月11日(水)~12月10日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:00(入館は16:30まで) (3~9月)
    9:30~16:30(入館は16:00まで) (10~2月)
    休館日
    月曜日(休日の場合は翌日が休館日となります)
    住所
    千葉県佐倉市城内町117番地
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.rekihaku.ac.jp/
    料金
    一般:830(560)円 / 高校生・大学生:450(250)円 /
    小・中学生:無料 /( )内は20名以上の団体
    展覧会詳細 「1968年」-無数の問いの噴出の時代- 詳細情報
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