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    レポート
    墨と金 ― 狩野派の絵画 ―
    根津美術館 | 東京都
    漢も倭も、自由自在
    長きにわたり、日本における絵画の頂点に君臨した狩野派。中国由来の水墨を基本としながらも、やまと絵の彩色も導入し、屏風における金の存在感を強めたのも狩野派です。2018年の根津美術館は「Ink and Gold」からスタートです。
    《両帝図屏風》狩野探幽筆 江戸時代 寛文元年(1661)
    (左奥から)《観瀑図》 伝狩野正信筆 室町時代 16世紀 小林中氏寄贈 / 重要文化財《観瀑図》芸阿弥筆 月翁周鏡ほか二僧賛 室町時代 文明12年(1480)
    《養蚕機織図屏風》伝狩野元信筆 室町時代 16世紀
    《猿曳図屏風》伝 狩野元信筆 室町時代 16世紀(展示期間:1/10-1/28)
    《山水花鳥図屏風》狩野尚信筆 江戸時代 17世紀(展示期間:1/10-1/28)
    (左手前から)《林檎鼠図》「元信」印 室町時代 16世紀 / 《山水図》「元信」印 室町時代 16世紀
    《舞楽図屏風》久隅守景筆 江戸時代 17世紀
    《梟鶏図》狩野山雪筆 江戸時代 17世紀
    《源氏物語図屏風》桃山~江戸時代 17世紀(展示期間:1/10-1/28)
    室町時代に重用された唐物(中国由来の文物)。狩野元信は、中国人画家の作品に基づく筆用(画家のスタイル)を整理し、真・行・草の三つの画体を創りました。

    狩野派は、時の権力者と強い結びつきがありました。為政者が求めた作品も多く、展覧会メインビジュアルの狩野探幽《両帝図屏風》も、中国の皇帝が画題です。豪華な画面には金箔、金泥、金砂子と、多彩な技が使われています。

    もともと金を使った屏風は、やまと絵にみられた手法です。記録に残る狩野派による初の金屏風制作は、明の皇帝への献上品でした(戦国大名の大内義隆が狩野元信に発注したものです)。

    中国由来の水墨画を整理し、日本風の画材である金を使って、中国に献上した元信。本朝画史(江戸時代に書かれた日本初の画人伝)に「漢にして倭(和)を兼ねる」と称される所以です。


    展示室1

    展示室2の主役は京狩野。徳川幕府の御用絵師となった探幽による江戸狩野に対し、京都に残ったのが京狩野です。

    久隅守景は探幽の門下生。比較的、淡泊な江戸狩野に対し、濃厚な表現は京狩野の特徴です。よく見ると、顔の部分に胡粉が盛り上げられているのは、京狩野の影響でしょうか。

    狩野山雪《梟鶏図》は、夜の梟(フクロウ)と朝の鶏を対比させた作品です。ともに、目線は上方をギョロリ。特にフクロウの表情がユーモラスです。


    展示室2

    展覧会は2月12日(月・祝)までですが、一部の作品は展示替えがあります。テーマ展示では、新年恒例の《百椿図》も出陳中です(展示室5)。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年1月9日 ]

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    晋遊舎
    ¥ 1,080


    ■根津美術館 墨と金 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2018年1月10日(水)~2月12日(月)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館は16:30まで)
    休館日
    毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、展示替期間、年末年始
    住所
    東京都港区南青山6-5-1
    電話 03-3400-2536
    公式サイト http://www.nezu-muse.or.jp/
    料金
    一般1100円、学生[高校生以上]800円
    *20名以上の団体、障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料
    展覧会詳細 墨と金 ― 狩野派の絵画 ― 詳細情報
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