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    レポート
    ターナー 風景の詩(うた)
    SOMPO美術館 | 東京都
    イギリスの国民的画家、120点が一堂に
    イギリスを代表する画家、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775~1851)。巧みな技術で空気まで描くような風景画は、後の芸術家にも多大な影響を与えました。約120点の作品で、あらためてターナーの魅力に迫る展覧会が、東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館で開催中です。
    (左から)《アベルディライス水車、グラモーガンシャー》1796-97年頃 アベリストゥイス、ウェールズ国立図書館 / 《タウンリー・ホール》1799年 バーンリー、タウンリー・ホール・アート・ギャラリー博物館群
    (左から)《カンバーランド州のコールダー・ブリッジ》1810年展示 郡山市立美術館 / 《ソマーヒル、トンブリッジ》1811年展示 エディンバラ、スコットランド国立美術館群
    (左から)《インヴェラレイ城の見えるファイン湾》1802-05年 山梨県立美術館 / 《シドマス、デヴォン》1825-27年 マンチェスター大学、ウィットワース
    (左から)《ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号》1832年展示 東京富士美術館 / 《ル・アーヴル》1832年頃 ダンディー・シティ・カウンシル(ダンディー美術博物館群)
    (左から)《20ヴィニェットのうちの1点―キャンプ・ヒルにて、ヘイスティングス近く》1835年頃 エディンバラ、スコットランド国立美術館群 / 《20ヴィニェットのうちの1点―バルト海の戦い》1835年頃 エディンバラ、スコットランド国立美術館群
    (左から)《オステンデ沖の汽船》1840-41年頃 ポート・サンライト、リヴァプール国立美術館群、レディ・リーヴァー・アート・ギャラリー / 《マーゲイトの浜辺の眺め》マンチェスター大学、ウィットワース
    (左から)《ローマ 左岸にアヴェンティーノの丘のあるテヴェレ川》1794-97年 エディンバラ、スコットランド国立美術館群 / 《ヴェスヴィオ山とサン・サルヴァトーレ修道院》1794-97年 エディンバラ、スコットランド国立美術館群
    (左から)《モンテ・マリオから見たローマ》1820年 エディンバラ、スコットランド国立美術館群 / 《マインヘッドとダンスター城、サマセット》1818年頃 ポート・サンライト、リヴァプール国立美術館群、レディ・リーヴァー・アート・ギャラリー
    (左から)《サヴォワの情景》1802-20年 ウルヴァーハンプトン・アート・ギャラリー / 《ノイハウスの船着場から見たトゥーン湖、スイス》1802年 マンチェスター大学、ウィットワース
    2020年から英国で使われる新20ポンド紙幣に、チャップリンなどを抑えて採用される事が決まったターナー。まさに国民的な画家といえる存在です。夏目漱石の小説にしばしばその名が登場するなど、日本でも古くから親しまれています。

    展覧会はジャンル別の4章構成で、第1章「地誌的風景画」から。地誌的風景画とは、場所が特定できるような、特徴的な地形を描いた風景画の事。測量技術の進歩にともない、18世紀の英国で流行し、ターナーも英国中を旅して描いています。

    第2章は「海景 ─ 海洋国家に生きて」。七つの海を支配した海洋国家・英国。人々は海に親しむと同時に、海に対して尊敬の念も持っていました。ターナーの海景画には帆船と蒸気船が登場しますが、ちょうど両方の輸送形態が混在していた時代です。


    第1章「地誌的風景画」、第2章「海景 ─ 海洋国家に生きて」

    第3章は「イタリア ─ 古代への憧れ」。ターナーは1819年から1820年にかけてローマを訪問。古代遺跡をはじめ重厚な建築が数多く残る風景は、ターナーを魅了しました。現地でスケッチを描き、帰国後に水彩画にしています。

    第4章「山岳 ─ あらたな景観美をさがして」。現在の感覚ではやや意外に思えますが、絵画の対象として「山」が意識されるのは、ずいぶんあと。ターナーが属するロマン主義以前には、ほとんど描かれませんでした。ターナーが山を積極的に描くようになったのは、1830年代からです。


    第3章「イタリア ─ 古代への憧れ」、第4章「山岳 ─ あらたな景観美をさがして」

    図録では5章で紹介されている版画作品は、会場の各所で展示されています。800点以上の銅版画を残したターナー。ターナーの指導は厳しく、彫版師としばしば口論になるほどでしたが、その成果もあって、極めて質の高い版画作品が残されています。

    展覧会は北九州から始まり、東京展が3館目。最後に郡山市立美術館に巡回します(7/7~9/9)。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2018年5月8日 ]

    もっと知りたいターナー:生涯と作品もっと知りたいターナー:生涯と作品

    荒川裕子(著)

    東京美術
    ¥ 2,160

    料金一般当日:1,300円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

    ■ターナー 風景の詩 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2018年4月24日(火)~7月1日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    ※入館は閉館の30分前まで
    休館日
    月曜日(ただし4月30日は開館、翌5月1日も開館)
    住所
    東京都新宿区西新宿1-26-1損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.sjnk-museum.org
    料金
    ( )内は20名以上の団体料金および前売料金
    一 般:1,300円(1,100円)
    大・高校生:900円(700円)※学生証をご提示ください
    65歳以上:1,100円 ※年齢のわかる物をご提示ください
    中学生以下:無料 ※生徒手帳をご提示ください

    ※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を提示のご本人とその付添人1名は無料。被爆者健康手帳を提示の方はご本人のみ無料。
    展覧会詳細 ターナー 風景の詩(うた) 詳細情報
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