「ピーナッツ」は1950年10月2日にアメリカの新聞7誌で連載がスタート。日常の何気ない出来事を少し哲学的に、くすりと笑えるエピソードで描く「ピーナッツ」は人気を呼び、掲載誌は2000年の連載終了までに世界15ヶ国、2000誌を超えました。
本展のはシュルツがピーナッツを描く前の作品からスタート。従軍時代の手紙に書いたイラストや初期の連載作品「リル・フォークス」も展示。「リル・フォークス」は「ピーナッツ」のルーツともされる作品で、チャーリー・ブラウンという男の子や、スヌーピーに似た犬も登場します。
また、シュルツが愛してやまなかったスポーツも紹介。「ピーナッツ」では、スヌーピーたちもホッケーやゴルフ、テニスを楽しむエピソードが多くあります。
従軍の経験や、スポーツの思い出などは「ピーナッツ」のエピソードに生かされています今回の展覧会の最大のポイントは100点を超える「ピーナッツ」の原画が見られること。アメリカのシュルツ美術館でもここまでの規模で見られることはあまりありません。
シュルツ美術館所蔵の最古の「ピーナッツ」から、晩年の作品まで、インクのにじみや鉛筆の下書き線まで見える距離でじっくりと楽しめます。すべての作品に谷川俊太郎さんの日本語訳がついているのもうれしいポイントです。
原画1つずつを見ていくと、年代を経るにしたがってキャラクターたちの描き方が少しずつ変わる様子が見て取れますシュルツは2000年に引退を宣言、そして2000年1月3日にデイリー版が、2月13日に日曜版の連載が終了します。シュルツはその日曜版が発行される数時間前に息を引き取りました。
生前にシュルツは語っています。「漫画を読めば私のことがわかります。私という人間のあらゆる部分が漫画の中に入っているからです。私の恐怖も、不安も、喜びもすべて。」
原画は大まかな年代順で、エピソードごとにまとめられて展示されています「ピーナッツ」は連載開始から今に至るまでアメリカ中で愛され、活躍の場はどんどん広がりました。企業マスコットとして広告に登場したり、アニメーション映画も製作。フィギュアやクリスマスオーナメントなどなど…日本でも多くの商品が製作されました。目にした事のあるグッズに出会えるかもしれません。
アメリカや日本で作られたグッズの数々。こちらのコーナーでは一部写真撮影が可能です。今回の展覧会の注目ポイントの一つがオリジナルグッズショップ。第2会場に設置されたショップで販売されているグッズは300種類。しかもここでしか買えないものばかりです(一部先行販売商品あり)。公式サイトに一部紹介されていますので要チェックです。
数量限定商品もあります。気になるグッズはお早めにスヌーピーたちはキャラクターとして日本でも定着していますが、「ピーナッツ」というコミックスに触れたことがない方も多いのではないでしょうか。原画で読む「ピーナッツ」からは、些細な日常にこめられたちょっと辛口なユーモアや暖かなメッセージが存分に味わえます。
「ピーナッツ」入門編としてもお勧めの展覧会。会期は来年1月5日まで。東京展のみです。
[ 取材・撮影・文:川田千沙・古川幹夫 / 2013年10月11日 ]作品はすべて©2013Peanuts Worldwide LLC