お邪魔したのは、インタラクティブアーティストの松尾高弘さんによる展覧会。インタラクティブとは「双方向性」のことで、鑑賞者の動きによって作品が変動するものをインタラクティブアートと呼びます。
松尾さんは1979年生まれ。鑑賞者の動きと連動する作品を映像や光で表現し、その活動は国内のみならず、イタリアで開催される国際的な見本市であるミラノサローネに参加するなど、インターナショナルに活躍しているアーティストです。
今回出品された作品は、2点。1点目は新作の「White Rain」。天井から無数の透明パイプが吊るされており、パイプ内には雨だれが落ちるように光が走ります。鑑賞者が作品の中に入っていくと、鑑賞者の近くには雨が多く降り注ぎます。天井に仕込まれたセンサーで鑑賞者の位置を判断して、光を制御しています。
「White Rain」会場奥で展示されているのが、ミラノサローネ2009で発表された「Aquatic Colors」。透過性のスクリーンに身体を近づけるとクラゲの群が連鎖的に発光して近づいてくる、という作品です。暗い会場の中に浮かび上がる、ゆらゆらとした青いクラゲ。海の中にいるような、水族館にいるような、不思議な気分になります。
「Aquatic Colors」インタラクティブアートの面白さは、残念ながらウェブではなかなか表現しきれません。期間中無休/入場無料ですので、松尾氏の世界感を体感してみてください。
最後に、会場のポーラ ミュージアム アネックスについてご紹介します。場所は東京・銀座1丁目のポーラ銀座ビル3階。ポーラ銀座ビルは2009年10月にリニューアルオープンし、ミュージアムも以前の2階から3階に移りました。恵まれた立地で年に約10本の企画展を開催、すべての企画展が無料です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年6月10日 ]