関連書籍が数多く発行されるなど、近年、注目度が増している写実絵画。要因は様々と思いますが、間違いなく大きな契機の一つが2010年の
ホキ美術館開館です。
難しい理屈を横に置いた分かりやすさが、写実絵画の最大の魅力。
ホキ美術館に並ぶ約50作家350点の写実絵画は、裸婦、静物、風景など、作家の表現欲求がストレートに投げつけられてくるようです。
館内は回廊型のギャラリーが写実絵画を牽引するホキ美術館では、その発展と若手画家の育成のために「ホキ美術館大賞」を設立。このたび、応募された作品の中から各賞が選出され、入選作とあわせて展示されることとなりました。
栄えある大賞(50~100号の作品から選出)は、山本誠さんの《4月3日の記憶》。準賞(10~40号)には川原田亜希子さんの《九十年》が選ばれました。
また、応募作品のレベルが高かったこともあり、急遽「館長賞」も設定。小木曽誠さんの《巡界する刻の中で》と、山崎秋人さんの《曲面と空間(リオマッジョーレ教会)》も選ばれました。
報道内覧会の前には授賞式も実施。四名の受賞作家に表彰状と副賞が授与されました。
山本誠《4月3日の記憶》/川原田亜希子《九十年》/小木曽誠《巡界する刻の中で》/山崎秋人《曲面と空間(リオマッジョーレ教会)》また、ホキ美術館の代表作家14人が自らもっとも描きたい作品を100号以上で描くギャラリー8「私の代表作」も、14作品すべてが新作になりました。
地下2階という暗くて静謐な環境にあわせて、塩谷亮さんは静かに横たわる女性像を制作。森本草介さんは仏・アリエー川の横に広がっていく風景画を、野田弘志さんは北海道のアトリエの庭で見つけた鳥の巣を克明に描きました。各々の作品につけられた音声ガイドも、すべて更新されています。
「新 私の代表作展」から、塩谷亮《聴》/森本草介《アリエー川の流れ》/野田弘志《聖なるもの THE-IV》また、ホキ美術館所蔵の森本草介作品が大阪と東京に巡回するためギャラリー2の森本ギャラリーは他の作家の作品になるなど、他のギャラリーも大きく展示替えされています。
卯野和宏《夢で見ていた森》/島村信之《眺め》/島村信之《コントラポストI》より写実絵画の世界を深く楽しむために、
ホキ美術館では様々なイベントも企画しています。12月21日には五味文彦さんと石黒賢一郎さんが対談。2014年2月22日には羽田裕さんによるギャラリートークが開催されます。詳細は公式サイトでご確認ください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年11月14日 ]