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    レポート
    法隆寺-祈りとかたち
    東京藝術大学大学美術館 | 東京都
    太子ゆかりの名宝、20年ぶりに東京へ
    聖徳太子が創建し、1400年の歴史を有する法隆寺。太子の教えとともに守られてきた選りすぐりの名宝が、東京藝術大学大学美術館にやってきました。
    (左奥から)国宝《吉祥天立像》平安時代 法隆寺蔵 / 国宝《毘沙門天立像》平安時代 法隆寺蔵
    《阿弥陀三尊像》鎌倉~南北朝時代(14世紀) 法隆寺蔵
    高村光雲《定胤和上像》昭和5年(1930) 法隆寺蔵
    和田英作《金堂落慶之図》1918年 法隆寺蔵
    鈴木空如《法隆寺金堂壁画模写》昭和7(1932)年~11年(1936)頃 大仙市蔵
    (左手前から)重要文化財《多聞天立像》平安時代 法隆寺蔵 / 重要文化財《阿弥陀如来坐像》平安時代 法隆寺蔵 / 重要文化財《広目天立像》平安時代 法隆寺蔵
    重要文化財《舞楽面》平安時代 法隆寺蔵 (左奥から)陵王、二ノ舞(腫面)、還城楽、抜頭
    (左から)《増長天立像》平安時代 法隆寺蔵 / 《持国天立像》平安時代 法隆寺蔵
    (左)《聖徳太子立像(二歳像)》鎌倉時代 法隆寺蔵
    東日本大震災から3年、新潟県中越地震から10年を迎えることを機に開催される本展。東京で大規模な法隆寺展が行われるのは、20年ぶりとなります。

    東京展の目玉は、毘沙門天立像と吉祥天立像(ともに国宝)。法隆寺では金堂の釈迦三尊像の脇に安置されている、大変重要な像です。

    護法を司る毘沙門天と、その妃とされ厄災を払い幸運をもたらす吉祥天。両尊の利益を祈念して、特別に出品されました。


    順に、国宝《毘沙門天立像》、国宝《吉祥天立像》 ともに法隆寺蔵

    展覧会は「美と信仰 法隆寺の仏教美術」「法隆寺と東京美術学校」「法隆寺と近代日本美術」の3章構成です。会場では冒頭(地下2階)で1章の一部と2~3章、続く3階で1章の残りが紹介されます(藝大美術館は地下2階 → 3階と進みます)。

    1章の「法隆寺と東京美術学校」では、岡倉天心が調査した法隆寺の寺宝や、東京藝術大学教授による奉納品が紹介されます。

    廃仏毀釈の進む明治の日本で、日本の伝統美術を救ったフェノロサと天心。天心がつくった東京美術学校と法隆寺は、作品の奉納や壁画の模写などで深い関わりを持っていました。


    第2章「法隆寺と東京美術学校」

    3章「法隆寺と近代日本美術」では、法隆寺と関わりが深い近代日本美術が展示されています。

    冒頭の大きな油彩画は、和田英作による《金堂落慶之図》。鞍作止利が聖徳太子らを完成した壁画の前に案内している場面を描いた、191×418センチの大作です。


    第2章「法隆寺と近代日本絵画」

    3階に進むと、再び第1章「美と信仰 法隆寺の仏教美術」に。広い会場に仏像をはじめとした名宝が並ぶ、厳かな展示室空間です。

    会場奥の重要文化財《阿弥陀如来坐像》は、三経院に安置されている像で12世紀(平安時代)の作。

    ふっくらとした童子は、聖徳太子二歳児の伝説に基づく《聖徳太子立像(二歳像)》です。二歳の太子は仏涅槃の日(2月25日)に、誰にも教わらずに東を向いて合掌したと伝えられています。

    仏像を紹介する展覧会での楽しみのひとつが、背後に回って見られること。柔和な表情が印象的な重要文化財《薬師如来坐像》も、360度で鑑賞可能です。広くて明るい展示室でのびのびと鑑賞できるのは、ミュージアムならではの魅力といえるでしょう


    3階の会場。順に、重要文化財《阿弥陀如来坐像》、《増長天立像》と《持国天立像》、《聖徳太子立像(二歳像)》、重要文化財《薬師如来坐像》、重要文化財《菩薩立像》 いずれも法隆寺蔵

    昭和24(1949)年に金堂壁画が焼損するなど、法隆寺は数々の苦難に直面してきましたが(文化財保護法はこれがきっかけに制定されました)、その度ごとに力強く復興を果たしてきました。

    法隆寺の長い歴史に、震災からの復興への祈りを重ね合わせた展覧会。仙台展、東京展の後は、2014年7月5日(土)~8月17日(日)に、新潟県立近代美術館に巡回します。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年4月25日 ]

    1/75 法隆寺 五重の塔(レーザーカット)

     

    ウッディージョー
    ¥ 23,193

    料金一般当日:1,500円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon

     
    会場
    会期
    2014年4月26日(土)~6月22日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館は午後16:30まで)
    休館日
    月曜日休館 ただし4月28日(月)、5月5日(月・祝)は開館、5月7日(水)は休館
    住所
    東京都台東区上野公園12-8
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://horyuji2014.jp/
    料金
    一般 1,500(1,200)円/高校・大学生 1,000(700)円
    ※中学生以下は無料
    ※ ( )は20名以上の団体料金
    ※団体観覧者20名につき1名の引率者は無料
    ※心身に障害のある方および付添者1名は無料(入館の際に障害者手帳をご提示ください)
    展覧会詳細 法隆寺-祈りとかたち 詳細情報
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