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レポート
仁清・乾山と京の工芸 ─ 風雅のうつわ
出光美術館 | 東京都
絢爛豪華、のみに非ず
江戸時代の京都に誕生したやきもの「京焼」。京焼の名工として知られる野々村仁清(ののむらにんせい 生没年不詳)と、その技を継いだ尾形乾山(おがたけんざん 1663-1743)を中心に紹介する展覧会が、出光美術館で開催中です。
(左奥)野々村仁清《白釉耳付水指》 / (右手前)野々村仁清《白地鉄釉流鍬形花生》
重要文化財 野々村仁清《色絵若松図茶壺》文化庁
会場
(手前)重要文化財 野々村仁清《色絵鳳凰文共蓋壺》
尾形乾山《色絵百人一首和歌角皿 十客》
重要文化財 尾形乾山《銹絵染付金銀白彩松波文蓋物》
(左から)古清水《色絵菊花文透彫六角鉢》 / 古清水《色絵楓文透彫手焙》
(左から)仁阿弥道八《銹絵金彩桐一葉形皿》 / 仁阿弥道八《色絵乙御前人形》 / 仁阿弥道八《色絵桜楓文鉢》
出光コレクションのほか、他館や個人蔵の作品もあわせて110点が紹介される本展。重要文化財も8件含まれる、豪華なラインナップです(※会期中通して)

第1章「まなざしは、京の〈外〉へ」では初期の京焼として、他産地のやきものを模倣した「写し物」を紹介。仁清も乾山も、活動の初期には写し物を作っていました。

第2章「清浄と簡素の〈京〉」では、仁清の白いやきものが紹介されています。清浄の現れである無釉の土器「かわらけ」や、簡素な白磁を重用していた京都。公家たちの支持を受けたモノクロームのうつわは、あまり知られていない仁清の一面です。


会場入口から

第3章「祝祭と権威の〈京〉」からは、一般的にイメージされる色鮮やかな京焼が登場。展示室3に進むと部屋の奥には、狩野派の金屏風と鮮やかな色絵茶壺を取り合わせた絢爛豪華な空間が広がります。

この茶壺は、仁清による重要文化財《色絵芥子文茶壺》。高さは43.4cmと仁清茶壺の中では最大級で、咲き乱れる芥子を金・銀・赤などで華麗に表現しています。壺の裾(下部)には「仁清黒」と呼ばれる黒色で描かれた雲形。芥子(けし)の描写は、狩野派の絵画との類似が指摘されています。(写真・動画にある屏風、狩野重信《麦・芥子図屏風》の展示は11/16まで。11/18からは別の屏風になります)


重要文化財 野々村仁清《色絵芥子文茶壺》

この章には、仁清の大型の茶壺がさらに2点。重要文化財《色絵若松図茶壺》は、黒と金の配色が見るからに蒔絵を思わせます。中国・景徳鎮官窯を祖型にしたと考えられる《色絵鳳凰文共蓋壺》も重要文化財で、胴部に描かれた煌びやかな鳳凰は、狩野常信の屏風との類似性も見られます。

京で作られた色絵ですが、これらは大名家からの注文品でした(この二点はともに丸亀藩京極家)。つまり仁清の京焼には、地方の大名が求めた京焼=華やかな色絵と、京の公家に愛された京焼=簡素な白いやきもの、という異なる流れがあります。


野々村仁清 重要文化財《色絵若松図茶壺》、野々村仁清 重要文化財《色絵鳳凰文共蓋壺》

尾形乾山は、第4章「文芸と遊戯の〈京〉」と第5章「融合される〈京〉のやきもの美」で紹介されます。

豊かな呉服商に生まれ、兄の光琳とともに高い文化的な素養を持っていた乾山。和歌や漢詩などを題材にしたうつわは、教養がある人のみ理解できるやきものでした。

重要文化財《銹絵染付金銀白彩松波文蓋物》は角丸方形で、漆工品の硯箱のよう。内面は染付と金彩で打ち寄せる波が、外面には風に揺られる松林が表現されています。

外面は釉薬がかけられず、素地のまま。ざらっとした質感は洲浜の砂を意識させるとともに、前述の「かわらけ」にも通じる事から、京の美意識を融合させたやきものといえます。


重要文化財 尾形乾山《銹絵染付金銀白彩松波文蓋物》

「絢爛豪華」一辺倒ではない、京焼の世界。ごゆっくりお楽しみください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年11月13日 ]


 
会場
会期
2014年10月25日(土)~12月21日(日)
会期終了
開館時間
午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日
月曜日休館 ただし11月3日(月祝)、24日(月休)は開館
住所
東京都千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9F
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト http://www.idemitsu.co.jp/museum/
料金
一般 1000円/高・大生 700円/中学生以下無料(ただし保護者の同伴が必要です)
※障害者手帳をお持ちの方は200円引、その介護者1名は無料です
展覧会詳細 仁清・乾山と京の工芸 ―風雅のうつわ 詳細情報
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