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    レポート
    没後15年記念 東山魁夷と日本の四季
    山種美術館 | 東京都
    山﨑種二が依頼した、皇居ゆかりの絵画
    日本各地の自然と風景を詩情豊かに描き、「昭和の国民画家」と称された日本画家の東山魁夷(ひがしやまかいい:1908-1999)。本年は没後15年となります。山種美術館とも縁が深い魁夷の作品を中心に、計59点で「日本の四季」を紹介する企画展です。
    東山魁夷《満ち来る潮》山種美術館
    (左)東山魁夷《白い嶺》山種美術館
    (左から)東山魁夷《白い壁》山種美術館 / 東山魁夷《樹根》目黒区美術館
    (左から)川合玉堂《早乙女》 / 川合玉堂《山雨一過》 / 川合玉堂《渓雨紅樹》 / 川合玉堂《雪志末久湖畔》 いずれも山種美術館
    結城素明《春山晴靄・夏渓欲雨・秋嶺帰雲・冬海雪霽》(右から、四幅対)山種美術館
    (左から)山口蓬春《新宮殿杉戸楓4分の1下絵》 / 橋本明治《朝陽桜》 いずれも山種美術館
    (左から)東山魁夷《秋彩》山種美術館 / 東山魁夷《雪の後》
    (左から)東山魁夷《北山初雪》川端康成記念会 / 東山魁夷《年暮る》山種美術館
    (左から)山本丘人《雪に立つ樹》 / 山本丘人《涛と雪》 いずれも山種美術館
    帝展や日展などの官展で活躍し、1964年には日本芸術院会員、1969年には文化勲章を受章と、昭和から平成にかけて日本画の王道を歩んだ東山魁夷。本展では4章構成で、代表作とともに師や仲間の作品も紹介していきます。

     第1章 風景画家への道
     第2章 《満ち来る潮》と皇居宮殿ゆかりの絵画
     第3章 京洛四季 ── 魁夷が愛した京都の四季
     第4章 四季を愛でる

    会場入口は魁夷の《白い嶺》から。続いて魁夷が東京美術学校時代に師事した結城素明や川合玉堂、そして後に魁夷の岳父になる川﨑小虎(魁夷は小虎の長女と結婚しました)の作品などが並びます。


    会場入口から

    本展のメインが、横約9mに及ぶ巨大な作品《満ち来る潮》。山種美術館創立者で初代館長の山﨑種二の依頼で、魁夷が描いた作品です。

    魁夷は皇居新宮殿のために、1968(昭和43)年に壁画《朝明けの潮》を制作。国賓などが宮殿を訪れる際、最初に目にする長和殿「波の間」に掲げられた作品は、宮殿の顔ともいえるこの場所に相応しい見事な出来映えですが、なにぶん場所が場所なので、一般の人はなかなか目にすることができません。

    そこで「その壁画を偲ぶことができる作品を、美術館で多くの人々が見られるように」と、種二が魁夷に依頼。描かれたのがこの作品です。本展ではスケッチとあわせて紹介されています。

    ちなみに、引き潮が描かれた「朝明けの潮」では、事業家であった種二としては芳しくなかったことから、験をかついで画題は「満ち来る潮」になったというエピソードも伝わります。


    東山魁夷《満ち来る潮》と、スケッチなど

    種二は、皇居宮殿ゆかりの絵画を描いた他の作家にも、同様に制作を依頼しました。

    並んで紹介されている山口蓬春の《新宮殿杉戸楓4分の1下絵》と橋本明治《朝陽桜》も、皇居宮殿ゆかりの作品。両者はそれぞれ《楓》と《桜》を、皇居宮殿・正殿松の間のために制作しています。


    皇居宮殿ゆかりの絵画

    文豪の川端康成と親交があった魁夷。「京都は今描いといていただかないとなくなります。京都のあるうちに描いておいて下さい」という川端の言葉に後押しされ、京都の四季を描いた「京洛四季」の連作を制作しました。

    本展には1968年に発表された「京洛四季」連作の中の作品のほか、山種美術館の開館10周年・20周年を記念して描いた京都の風景などが、優れた文筆家でもあった魁夷の言葉とともに並びます。


    東山魁夷「京洛四季」連作など

    詩情豊かな四季の表現は、東山魁夷ならでは。この時期になると、出展されているかどうか良く問い合わせがあるという人気の作品《年暮る》も展示されています。ぜひ、お着物でお出かけください(会期中は「きもの割引」実施中です)。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年11月25日 ]


     
    会場
    会期
    2014年11月22日(土)~2015年2月1日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館16:30まで)
    ※特別展の開館時間は変更になることもあります。
    休館日
    月曜日(但し、11/24、1/12は開館、11/25、1/13は休館、12/29~1/2年末年始休館)
    住所
    東京都渋谷区広尾3-12-36
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    03-5777-8600 (ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.yamatane-museum.jp/
    料金
    一般 1,200円(1,000円)/大高生 900円(800)円/中学生以下無料
    ※()内は20名以上の団体料金
    ※障がい者手帳、被爆者手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)は無料
    展覧会詳細 「没後15年記念 東山魁夷と日本の四季」 詳細情報
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