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    レポート
    ルーヴル美術館展 日常を描く ─ 風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄
    国立新美術館 | 東京都
    フェルメール《天文学者》、ついに来日
    歴史的な場面や神話の世界ではなく、日常生活を題材にした風俗画。序列が低い絵画とされましたが、いきいきとした描写で魅力的な作品が数多く生まれました。ルーブル美術館の膨大なコレクションの中から、16世紀初頭から19世紀半ばまでのヨーロッパ風俗画の優品がやってきました。
    ヨハネス・フェルメール《天文学者》
    シャルル・ル・ルブラン《キリストのエルサレム入場》
    (左から)ヘリット・ファン・ホントホルスト《抜歯屋》 / ジャンドメニコ・ティエポロ《大道商人》、または《抜歯屋》
    クエンティン・マセイス《両替商とその妻》
    二コラ・レニエ《女占い師》
    (左から)ジャン=パティスト・グルーズ《割れた水瓶》 / アブラハム・ブルーマールト《冬の寓意》
    (左から)アンニーバレ・カラッチ《狩り》 / パウル・ブリル《鹿狩り》
    (左から)ジャン=オノレ・フラゴナール《嵐》、または《ぬかるみにはまった荷車》 / ジョゼフ・ヴェルネ《風景、雷鳴》
    ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《鏡の前の女》
    会場は本編に入る前に、風俗画の起源といえる古代ギリシャやオリエントの作品から。続いて歴史画や肖像画など別ジャンルの絵画も紹介し、絵画のヒエラルキー(序列)について解説します。

    1章の「労働と人々 ─ 商人、働く人々、農民」から、本格的な風俗画の紹介となります。

    バルトロメ・エステバン・ムリーリョの《物乞いの少年(蚤をとる少年)》は、ルーヴル美術館に最初に入ったスペイン絵画のひとつ。少年の身なりは粗末ですが、気高さも感じられる描写です。


    プロローグから、1章「労働と人々 ─ 商人、働く人々、農民」

    話題のフェルメール《天文学者》は、2章「日常生活の寓意 ─ 風俗描写を超えて」で展示。日本初登場となります。

    ユダヤ系の銀行家一族のロートシルド(ロスチャイルド)家旧蔵だったものをナチス・ドイツが略奪したといういわくつきの名画で、ルーヴル美術館に2点しか無いフェルメール作品のひとつです。

    「日本の上着」と呼ばれた衣裳を羽織った学者は、当時の知識人に流行していた長髪。中央の人物がややぼんやりしているのに対し、天球儀の方はビチッと描きこまれています。モデルが誰なのか? 同じような構図の《地理学者》との関係は? 議論がつきない作品です。


    2章「日常生活の寓意 ─ 風俗描写を超えて」

    3章「雅なる情景 ─ 日常生活における恋愛遊戯」では男女の恋愛を描いた作品として、ヴァトーやデ・ホーホら。4章「田園の風景 ─ 日常生活における自然」には狩猟を描くカラッチや、農村を詩情豊かに描いたコローやトロワイヨンらの作品が紹介されます。


    3章「雅なる情景 ─ 日常生活における恋愛遊戯」、4章「田園の風景 ─ 日常生活における自然」

    5章は「室内の女性 ─ 日常生活における女性」。私的な空間の女性に関わらず、不自然に露出が多い作品も。画家・鑑賞者ともに男性目線で、窃視的な願望に応えています。

    《風呂からあがるムーア人の女性》、または《ハーレムの室内》も、極めて官能的。オリエンタリズムあふれる題材を得意にしたシャセリオーならではの作品です。


    5章「室内の女性 ─ 日常生活における女性」

    最後の6章は「アトリエの芸術家」。画家たちがアトリエの芸術家を描いた作品です。

    猿が絵を描く姿は、シャルダンの作品。古典を重視するあまり写生を疎かにしがちな美術アカデミーを風刺しているとも言われています。


    6章「アトリエの芸術家」

    「風俗画」という枠組みで各国・各時代を代表する作品が集まるのは、さすがルーヴル美術館ならでは。西洋美術好きにはたまらない豪華なラインナップをお楽しみください。

    なお本展を主催する日本テレビは、ルーヴル美術館と長期的な展望にたった新たな協力関係を築くことに合意。本展はそれに先立って行われるもので、2018年から4年に1度、計5回にわたって日本で大規模な「ルーヴル美術館展」が開催される事となります。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年2月20日 ]


    料金一般当日:1,600円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon


    ■ルーヴル美術館展 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2015年2月21日(土)~6月1日(月)
    会期終了
    開館時間
    <企画展>
    10:00~18:00
    ※当面の間、夜間開館は行いません。
    ※入場は閉館の30分前まで
    <公募展>
    10:00~18:00
    ※美術団体によって、異なる場合があります。
    ※入場は閉館の30分前まで
    休館日
    毎週火曜日 ただし、5月5日(火)、26日(火)は開館
    住所
    東京都港区六本木7-22-2
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.ntv.co.jp/louvre2015/
    料金
    一般 1,600(1,400)円/大学生 1,200(1,000)円/高校生 800(600)円
    ※()内は20名以上の団体料金及び前売り料金
    ※中学生以下無料
    ※障害者手帳をお持ちの方と付添いの方1名は無料
    展覧会詳細 ルーヴル美術館展 日常を描く ─ 風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄 詳細情報
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