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    レポート
    あの歌麿が帰ってきた!「深川の雪」再公開
    岡田美術館 | 神奈川県
    幻の大作、1年ぶりの再公開
    60余年ぶりの公開から1年。喜多川歌麿の肉筆浮世絵《深川の雪》が岡田美術館で再公開されています。明るい話し声が聞こえてきそうな27名を、流れるようなレイアウトで配置、歌麿渾身の大作です。
    喜多川歌麿《深川の雪》
    金屏風が並ぶ展示室
    重要美術品 円山応挙・源琦《三美人図》
    (手前)《色絵波涛花散文美人像》有田・柿右衛門様式 / (奥)葛飾北斎《傾城図》
    (左から)円山応挙《子犬図》 / 円山応挙《群犬図》
    (右手前)《黒漆牡丹唐草文玳瑁螺鈿箱》
    (左から)伊東深水《早春》 / 伊東深水《三千歳》
    近代絵画の美人画
    渓斎英泉《十二ヶ月風俗画帖》
    2013年10月、箱根・小涌谷にオープンした岡田美術館。作品が際立つドラマチックな展示室、私設美術館としては日本最長クラスの展示ケース、重要文化財を含む質の高いコレクションと、豪華なミュージアムはすっかり箱根の新名所になりました。

    岡田美術館の大看板のひとつが、喜多川歌麿《深川の雪》。所在不明になっていた作品が久しぶりにお目見えし、昨年は話題になりましたが、今回、1年ぶりに再公開される事となりました。

    紹介されているのは、2階の展示室。198.8cm×341.1cmという大きさで、広い室内でも相当存在感があります。

    画面中央にはS字に人物を配置。美人表現の素晴らしさは言うまでもありませんが、囲炉裏やネコなどの小物も上手く用いて、画面全体に精気がみなぎっているのが特徴的です。手の表情など、細かなところも生き生きと描かれています。


    喜多川歌麿《深川の雪》

    《深川の雪》にあわせるように、他の展示室でも江戸時代の美人画が紹介されています。

    江戸時代の美人画の多くは、遊女や芸者を描いたもの。円山応挙、葛飾北斎、そして喜多川歌麿ら、東西の肉筆浮世絵が並びます。

    ちなみに、喜多川歌麿《芸妓図》に描かれている、右手で着物の前をつまみ左手を袖に隠して立つ芸妓の姿は、《深川の雪》の中央の女性とほぼ同じポーズです。


    江戸時代の美人画

    江戸期だけでなく、近代の美人画も紹介されています。

    「西の松園、東の清方」と並び称された美人画の名手、上村松園と鏑木清方を向かい合わせで紹介。清方の隣には弟子の伊東深水で、深水の《三千歳》と《早春》は近ごろ岡田美術館の所蔵になりました。


    近代の美人画

    あまり知られていないようにも思いますが、岡田美術館には春画のコーナーもあります。

    性の楽しみや喜びを絵画化した春画は、ポルノグラフィではなく「大人の遊び絵」ともいえる絵画。海外でも'Shunga'と呼ばれ高い評価を受けていますが、日本で常時見られるところは多くありません。

    岡田美術館では、少し奥まった展示室で紹介。現在は、格調高い画風で狩野派による作と思われる《春画絵巻》、12カ月の季節の中に男女の交わりを描いた渓斎英泉《十二ヶ月風俗画帖》、そして春画史上に残る最高傑作のひとつともいわれる葛飾北斎《浪千鳥》を展示しています。ウェブで詳細はご紹介できませんので、ぜひ美術館でご覧ください。


    春画のコーナー

    なお、岡田美術館では、このたび所要する尾形乾山の《色絵竜田川文透彫反鉢》(旧名称・色絵紅葉文透彫反鉢)が重要文化財に指定されました。これで同館の重要文化財は計4点。5月19日(火)から全4件が同時公開されます。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年4月16日 ]

    歌麿の美人歌麿の美人

    小林 忠 (著)

    小学館
    ¥ 2,592

     
    会場
    会期
    2015年4月3日(金)~8月31日(月)
    会期終了
    開館時間
    午前9時〜午後5時(入館は4時30分まで)
    休館日
    会期中無休
    住所
    神奈川県箱根町小涌谷493-1
    電話 0460-87-3931
    公式サイト http://www.okada-museum.com/
    料金
    一般・大学生 2,800円/小・中・高校生 1,800円
    展覧会詳細 あの歌麿が帰ってきた!「深川の雪」再公開 詳細情報
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