2013年は「1930~50年代前半 伸縮する内と外 靉光≪花と蝶≫を中心に」、2014年は「1955~70年 大沢昌助≪人物の構図≫を中心に」と開催した
練馬区立美術館。毎年、この時期に開催しています。
コレクション展という事もあって2階展示室のみでの開催(通常の企画展は2階と3階で開催されます)ですが、なんと入館は無料。昨今、あらためて注目度が増している作家も多く、かなりオトクな展覧会といえます。
会場会場入口の《インパール》をはじめ、25人の出展作家の中で最多の4作品が展示されているのが、牧野邦夫。2013年に同じ練馬区立美術館で開催された
「牧野邦夫 ― 写実の精髄」展には驚かされました。ひと目でそれと分かる匂い立つような描写は、同年代の作品と並ぶと、さらに際立って見えます。
牧野邦夫の作品もう一人、小作青史(おざくせいし:1936~)の作品も印象的です。東京藝大油画専攻科を卒業、海外の版画展で受章を重ね、文化庁在外派遣研究員としてフランス・ドイツに留学。帰国後は独自版画手法を研究し、プレス機がなくても版画を制作できる「木版リトグラフ」、誰でも簡単に刷れる「楊枝バレン」などを提案し、版画の普及にも務めています。変形した人物の版画作品が紹介されています。
小作青史の作品他にも、ビッグネームの作品がずらり。豊富な近・現代美術コレクションを誇る
練馬区立美術館の実力が垣間見える展覧会です。
順に、荒川修作《THE UNRECOGNIZABLE TEMPERATURE IN SLOW MOTION》、白髪一雄《文覚 滝の行》、中西夏之《L字型 ─ 左右の停止Ⅳ ─ 》、高松次郎《影》、草間彌生《Flowers》《帽子》本展のリーフレットは2つ折りで、内側は現代美術の年表です。その時代の出来事と美術作品のほか、美術にも影響を与えたキーワードも掲載。全4回分を縦に繋げると、1930年代~2000年代までの長い年表になります。会場では前回のリーフレットも配布しています。
来年のこの時期に4回目が開催される予定、最後は1990年代から2000年代までとなります。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年6月10日 ]■練馬区立美術館 コレクション展 に関するツイート