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レポート
ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展
東京都美術館 | 東京都
驚きの細密描写、24年ぶりに来日
オランダを代表する美術館のひとつ、ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館からブリューゲル1世の傑作《バベルの塔》が24年ぶりに来日。さらに貴重なヒエロニスム・ボスの真作2点は初来日。15~16世紀のネーデルラント美術を紹介する展覧会が、東京都美術館で開催中です。
アルント・ファン・ズヴォレ?《四大ラテン教父:聖アウグスティヌス、聖アンブロシウス、聖ヒエロニムス、聖グレゴリウス》1480年頃
(左から)ベルナント・フォン・オルレイ《磔刑のキリストと聖母、聖ヨハネ》1525年頃 / ヤン・プロフォースト《アレクサンドリアの聖カタリナの論争》1520年頃
(左から)枝葉の刺繍の画家《聖カタリナ》1500年頃 / 枝葉の刺繍の画家《聖バルバラ》1500年頃
(手前:左から)ヤーコブ・コルネリスゾーン・ファン・オーストザーネン《ノールトウェイクの聖ヒエロニムス》1516年頃 / ヤーコブ・コルネリスゾーン・ファン・オーストザーネン《聖アダルベルト》1516年頃 ※ともに裏面
(右手前)ヤン・ファン・スコーレル《学系の肖像》1531年
ヒエロニムス・ボス《放浪者(行商人)》1500年頃
ヒエロニムス・ボス《聖クリストフォロス》1500年頃
ピーテル・ブリューゲル1世 彫版:ピーテル・ファン・デル・ヘイデン《大きな魚は小さな魚を食う》1557年
現在のベルギーとオランダに相当するネーデルラント。油彩画がここで誕生した事もあり、絵画は世界的な名声を得ていますが、展覧会は意外にも彫刻から始まります。この地の都市には大規模な彫刻工房が組織され、教会からの注文に応えていました。

続いて宗教画。宗教改革の波を受けて多くの宗教画が失われていますが、残された作品から当時のスタイルが偲ばれます。

16世紀には宗教画以外の画題も発達します。日々の暮らしや風景、静物などの作品のほか、富を蓄えた階層には肖像画も広まっていきました。


Ⅰ~Ⅳ章

ヒエロニムス・ボスの油彩は次のフロアに。生前から評価が高く、王侯貴族らにも作品を納めていたボス。真作は世界中で約25点とも言われており、西洋美術史上でも最も独創的な画家のひとりにも数えられます。

貧しい行商人を描いた《放浪者(行商人)》。名残惜しそうに振り返る後ろには娼館があるので、ここで金を使い果たしてしまったのかもしれません。500年前の男でも、人生の判断を迷わせるのは、やはり色事です。

《聖クリストフォロス》は、イエスをおぶって川を渡ったといわれる、キリスト教の伝説的な聖人。キリストを暗示するモチーフも描かれていますが、背後には吊るされた熊など奇妙な描写も見られます。

ピーテル・ブリューゲル1世の作品は、まず版画から。ブリューゲル1世が下絵を描き、専門の彫版師との協業でつくられた版画は広く拡散し、その名を高めていきました。


Ⅴ~Ⅶ章

お目当ての《バベルの塔》は、会場の一番最後に登場します。

ブリューゲル最晩年の作品で、熟練の描写は驚異的。59.9×74.6cmの画面に1400人が描かれていると言われています。

塔の上下で色が違うのは、工事に時間がかかっているため(経年のため低層部が変色しています)。時間の経過をドラマチックに表現するとともに、後の崩壊を予想させる不穏なイメージも抱かせます。

各所に目を凝らすと、画面の端まで丹念な描写が。工事や港の様子から16世紀ネーデルラントの実情もよく分かります。


Ⅷ章「バベルの塔」へ

展覧会の公式図録(2,500円)はブリューゲル1世《バベルの塔》の原寸大ポスター付き。ちょっと珍しい企画ですが、細部まで描きこまれた作品を自宅でじっくり見られるのは嬉しい限りです。今後もこのスタイルが広まれば良いなと思いました。

東京の後は大阪展。国立国際美術館に巡回します(7/18~10/15)。

[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年4月17日 ]



■バベルの塔 に関するツイート


 
会場
会期
2017年4月18日(火)~7月2日(日)
会期終了
開館時間
9:30~17:30
休館日
休室日:月曜日 ※ただし、5月1日(月)は開室
住所
東京都台東区上野公園8-36
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
03-5777-8600(ハローダイヤル)
公式サイト http://babel2017.jp/
料金
一般 1,600(1,400)円 / 大学生・専門学校生 1,300(1,100)円 / 高校生 800(600)円 / 65歳以上 1,000(800)円
※()内は20名以上の団体料金及び前売り料金
※中学生以下は無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料(要証明)

※4月19日(水) 、5月17日(水)、6月21日(水)は、シルバーデーにつき、65歳以上の方は無料(要証明)
※5月20日(土)、21日(日)、6月17日(土)、18日(日)は、家族ふれあいの日により、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住、2名まで)は当日一般料金の半額(要証明)
展覧会詳細 ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 詳細情報
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