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    レポート
    遥かなるルネサンス
    東京富士美術館 | 東京都
    400年前の異文化交流
    安土桃山時代にイタリアを訪問し、ローマ教皇に謁見した天正遣欧少年使節。1585年にイタリアに到着した伊東マンショら4人の少年は行く先々で歓待を受け、一流の文物に触れて見分を深めました。少年使節の足跡をたどり、彼らが訪れたイタリア各地の美術を訪問順に紹介する展覧会が東京富士美術館で開催中です。
    (左から)ブロンズィーノ《ビア・デ・メディチの肖像》フィレンツェ、ウフィツィ美術館 / アレッサンドロ・アッローリの工房《ビアンカ・カペッロの肖像》フィレンツェ、ウフィツィ美術館
    (手前)バルトロメオ・アンマナーティ《メディチの精霊》フィレンツェ、ウフィツィ美術館 / (奥)ジョヴァンニ・ストラダーノ、メディチ宮廷付きタペストリー工房、ベネディット・スクイッリ《布幕を用いた狼の狩猟》フィレンツェ、ウフィツィ美術館
    (奥)ウルビーノ窯、フォンターナ工房《ガラテアの凱旋の描かれた大皿》アレッツォ国立中世・近代美術館 / (手前4点)カステッリの工房《ファルネーゼ家紋章入りの皿》ナポリ、カポディモンテ美術館
    (左から)フェデリコ・ツッカリ(ラファエッロに基づく)《聖ペテロの開放》フィレンツェ、ウフィツィ美術館 / シピオーネ・プルツォーネ(通称ガエターノ)《アレッサンドロ・フォルネーゼ枢機卿の肖像》ローマ、パルベリーニ宮(国立古典絵画館)
    (左から)クリストーファノ・デッラルティッシモ《フェッラーラ公爵アルフォンソ2世・デステの肖像》フィレンツェ、ウフィツィ美術館 / パドヴァニーノ(アレッサンドロ・ヴァロターリ)《バッコス祭(ナッソスのアリアドネ、もしくはアンドロス島の人々)》ベルガモ、カッラーラ美術館
    (奥から)ムラーノのガラス工房《バケット》ナポリ、カポディモンテ美術館 / ムラーノのガラス工房《巡礼者のフィアスコ》ナポリ、カポディモンテ美術館
    (左から)ティントレット(ヤコポ・ロブスティ)《レダと白鳥》フィレンツェ、ウフィツィ美術館 / ドメニコ・ティントレット(ドメニコ・ロブスティ)《伊東マンショの肖像》ミラノ、トリヴルツィオ財団
    《天正遣欧少年使節からヴェネツィア共和国政府への感謝状》ヴァチカン市国、ヴァチカン教皇庁図書館
    ウルバーノ・モンテ《天正遣欧少年使節の4人の少年達とディエゴ・デ・メスキータ神父の肖像》ミラノ、アンブロジアーナ図書館
    フランシスコ・ザビエルによって日本に伝えられ、徐々に広まっていったキリスト教。天正遣欧少年使節は「日本における布教をローマ教皇に伝える」「日本人に西洋世界を理解させる」というふたつの目的で派遣されました

    会場は使節が訪れた順番で、イタリア各地の美術・工芸品を紹介していきます。

    展覧会メインビジュアルの少女像は、夭折したメディチ家の娘。宮廷画家として活躍したブロンズィーノの代表作のひとつです。

    その奥は、トスカーナ大公夫人のビアンカ・カペッロの肖像。ビアンカは舞踏会で自ら伊東マンショの手を取って踊ったというエピソードも伝わります。

    少年たちが謁見した教皇は、グレゴリウス13世。現在使われているグレゴリオ暦を採用したのはこの人です。


    プロローグ、1~3章

    使節は教皇との謁見後、行きとは異なる順路で帰路を進みました。歓待を受けたイモラでは、日本語の手紙も残しています。

    ヴェネツィアは、ローマとともに少年たちが最も感銘を受けた都市です。サン・マルコ寺院をはじめ著名な施設を訪問、ムラーノでは吹きガラスのデモンストレーションも見学しています。

    2014年に存在が確認されて話題となったのが、伊東マンショの肖像。4人が描かれていた作品が切断されたものと考えられています。作者のドメニコ・ティントレットは、ヴェネツィア派を代表するティントレットの息子です。


    4~6章

    10日間滞在したヴェネツィアの後は、イタリア半島北部を西へ。ここでも各所で歓待を受け、さまざまな施設を見学しています。

    ミラノにも8日間滞在。ミラノ・アンブロジアーナ図書館には、4人が描かれた手稿本も残されています。

    3月1日から8月8日まで、5カ月に及ぶイタリア滞在を終えた少年使節。双方ともに異文化を認め合う、充実した国際交流を成し遂げたといえるでしょう。


    7~9章

    ただ、帰国した少年たちを待っていたのは、「バテレン追放令」が発令されていた日本でした。中浦ジュリアンは逆吊しの拷問を受けても棄教を拒否し、ついに絶命。殉教してから374年を経た2007年に、福者に列せられています。

    展覧会は神戸、青森と巡回して東京へ。東京富士美術館が最終会場です。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年9月26日 ]

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    昭文社 旅行ガイドブック 編集部 (編集)

    昭文社
    ¥ 1,296

    料金一般当日:1,300円
     → チケットのお求めはお出かけ前にicon


    ■遥かなるルネサンス に関するツイート


     
    会場
    会期
    2017年9月21日(木)~12月3日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(受付は30分前まで)
    休館日
    毎週月曜日(この日が祝日の場合は、その翌日)
    住所
    東京都八王子市谷野町492-1
    電話 042-691-4825
    公式サイト http://www.fujibi.or.jp/harukanaru/
    料金
    入館料 : 一般1,300(1,000)円、高大生800(700)円、小中生400(300)円
    ※( )内は前売券および各種割引料金
    展覧会詳細 「遥かなるルネサンス」 詳細情報
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