印刷博物館 P&Pギャラリーに設けられた白い展示台に並んだのは、森永ミルクキャラメル、カルピス、セロテープ…、お馴染みの商品ばかりです。30年以上にわたって生き続けてきた主なロングセラー商品の今の姿を発売年度ごとに紹介する展覧会が、(社)日本パッケージデザイン協会創立50周年記念事業として開催されました。
展覧会会場展示された商品の中で最も古いものは宇津救命丸で、なんと製造開始は1597年(関ケ原の戦いの3年前です)。それ以外にも養命酒(1602年)、ヤマト糊(1899年)、金鳥蚊取り線香(1902年)など、100年以上前から作られている商品も少なくありません。50年以上ならキンチョール(1934年)、ヤクルト(1935年)、マジックインキ(1953年)など。一般に商品ブランドの寿命は30年といわれているので、ここに並べられた商品は激戦を勝ち抜いてきた成功例ばかり、という事になります。
お馴染みの商品が並びます数あるデザインの分野の中でも、パッケージのデザインは人々の生活や経済、技術に密接に関わっていることから「生活に最も近いデザイン」とも称されています。発売年ごとに並べられたパッケージを見ていると、その時代に起こった事象が思い出されるとともに、商品にカタチを与えるデザインの力が見えてくるようです。
壁面では併設展として、すぐれたパッケージデザインを制作者自身の言葉で紹介するパネル展「パッケージデザインの勘ドコロ」も同時に開催されています。
常設の総合展東京ドームシティ近くのトッパン小石川ビルにある、
印刷博物館。凸版印刷株式会社の100周年記念事業の一環として、2000年に設立されました。
印刷の歴史を紹介する総合展示のほか、活版印刷を中心とした印刷技術を実際に体験できる印刷工房「印刷の家」、カーブ型スクリーンで印刷に関係するコンテンツや企画展と連動したプログラムを上映する「VRシアター」など、体験を通して印刷との関わりを自然に発見できる博物館を目指しています。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年8月30日 ]