2004年から開催され、今年で6回目となる「六本木クロッシング」。
2013年と
2016年もこのページでご紹介しました。
今年は、1970-80年代生まれを中心とした日本のアーティスト25組が紹介されます。いつも通り、気になった作品をいくつかピックアップしていきます。
まずは林千歩さん(1988-)の《人工的な恋人と本当の愛 ― Artificial Lover & True Love ―》。本展の目玉作品の一つです。
社長室に見立てた空間に、陶芸教室にいそしむ既婚のAI(人工知能)ロボットの「アンドロイド社長」が、人間の女生徒と恋に落ちるという、ユーモアな設定の映像が流れるインスタレーション。惹き込まれるような人間とロボットの恋愛物語は、鑑賞後も2、3日間忘れることができないインパクトがありました。
福島県出身のアーティスト・毒山凡太朗さん(1984-)は、2011年の東日本大震災により「自分自身が今まで教えられてきたことが、嘘だったのではないか」と感じたことを感じたことをきっかけに、作品を制作。
《あっち》は、福島第一原発事故により、仮設住宅での生活を余儀なくされている人々とともに、ワークショップを行った作品です。参加者は自身で制作したお面で顔を覆いながら、戻ることのできない故郷を指さしています。
映像の特性や構造そのものをテーマとしたインスタレーションを発表している、津田道子さん(1980-)。《王様は他人を記録するが》は、1871年、ルイス・キャロルが発表した児童小説『鏡の国のアリス』を題材にした新作です。
『鏡の国のアリス』の世界で起こる不条理な出来事を、映像の特性を使って再現。チェス盤を模した市松模様の床の上には、カメラ(キング)、モニター(クイーン)、フレーム(ナイト)、壁(ルーク)、鏡(ポーン/アリス)が配置されて、その間を歩くことができます。
さまざまな商業施設や文化施設が集積する六本木。5月25日(土)は、現代アートやデザイン、音楽などの作品を街の中に点在させ、非日常的な空間を作り出すイベント「六本木アートナイト」の開催に伴い、翌朝6時まで開館。オールナイトで美術を楽しむことができる機会です。ぜひ。
[ 取材・撮影・文:静居絵里菜 / 2019年2月8日 ]