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    レポート
    国宝「卯花墻」と桃山の名陶
    三井記念美術館 | 東京都
    ネットでは見られない、個人所有の逸品がずらり
    平成5年に室町三井家より三井記念美術館に寄贈された、国宝の志野茶碗《卯花墻》(うのはながき)。同じ時代に美濃で焼かれた名陶とともに紹介されています。
    国宝《卯花墻》(手前)
    展示室1
    重要文化財《志野茶碗 銘広沢》
    展示室5は「黄瀬戸 瀬戸黒」
    《黄瀬戸福字平鉢》《黄瀬戸根太香合》(右手前から)
    美濃古窯出土陶片(参考展示)
    展示室7は「織部」
    重要文化財《鼠志野鶺鴒文鉢》
    三井記念美術館を代表するコレクションでもある《卯花墻》。日本で焼かれた茶碗で国宝に指定されているものは2点のみで、うち1点がこの「志野茶碗 銘卯花墻」です(もう1点はサンリツ服部美術館が所蔵する本阿弥光悦の「白楽茶碗 銘不二山」)。

    三井記念美術館では卯花墻を度々公開していますが、取り合わせた茶道具の一具として展示される事がほとんど。今回は桃山茶陶の代表作として、同じ桃山時代後期に美濃で生まれた志野、黄瀬戸、瀬戸黒、織部の名陶の中で《卯花墻》を見せる企画です。


    展示室1

    エントランスから進むと、名陶が1つ1つケースで紹介。奥の展示室2にあるのが《卯花墻》です。

    美濃の牟田洞窯で焼かれた、筒形の志野茶碗。どっしりと力強い風格を感じます。垣根のような文様が釉の濃淡で発色しており、その姿を垣根に咲いた卯の花に例えて《卯花墻》と呼ばれています。


    国宝《卯花墻》

    展示室5に並ぶのは、黄瀬戸と瀬戸黒。黄瀬戸は鮮やかな黄釉が掛かった瀬戸焼、瀬戸黒は黒釉で重厚な作行きが特徴です。

    室町三井家が所蔵していた《黄瀬戸根太香合》、中央に「福」の文字がある《黄瀬戸福字平鉢》など、黄瀬戸は緑色の胆礬釉(銅が緑に発色した状態)の濃淡が見どころです。


    展示室5「黄瀬戸 瀬戸黒」

    展示室7は織部。慶長年間後期に誕生した織部は、釉と土を使い分けることで豊かな色彩を持ち、また型による成形法も用いられたため多様な形の食器が作られました。


    展示室7「織部」

    茶碗をはじめ、多くの名陶を揃えた本展。展示作品はこれまで公開される機会がほとんどなかった個人所有のものも多く、並々ならぬ労力の上で実現した展覧会です。

    実は個人所有の作品は撮影NGだったため、本項で紹介できたのはごく一部です。創造性あふれる桃山陶の世界の全貌は、ぜひ会場でご堪能ください。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年9月9日 ]


     
    会場
    会期
    2013年9月10日(火)~11月24日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~17:00(入館は16:00まで)
    休館日
    月曜日休館 ただし9月16日(月・祝)、9月23日(月・祝)、10月14日(月・祝)、11月4日(月・祝)は開館。9月17日(火)、9月24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)は休館
    住所
    東京都中央区日本橋室町二丁目1番1号 三井本館7階
    電話 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.mitsui-museum.jp/
    料金
    一般 1,200(1,000)円/大学・高校生 700(600)円/中学生以下無料
    ※()内は20名以上の団体料金
    ※70歳以上の方(要証明)は900円
    ※障害者手帳をご提示いただいたお客様及び介護者は無料
    展覧会詳細 国宝「卯花墻」と桃山の名陶 詳細情報
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