三谷幸喜さんにとって6作目の監督作品となる「清須会議」(11月9日公開)の公開を前にはじまった本展。実際の映画製作の中で使われた資料や装飾、小道具などを紹介しながら、映画の世界観をつくり上げる映画美術の世界を紹介する企画です。
会場1階は映画館風の演出。各部屋で三谷さんと種田さんがタッグを組んだ作品が紹介されています。
VIDEO 会場1階は映画館風の演出 「ザ・マジックアワー」では、舞台となった港町・守加護(すかご)の街並みを、オープンセットではなくスタジオの中で作りました。
見事なセットを前に、三谷監督は撮影後にアミューズメントパークにしては提案したそうですが、種田さん曰く「一刻も早く壊して欲しい」。「映画美術は、撮影が終わって壊すことによってはじめてフィルムの中にしか存在しない空間になる」と答えたそうです。
VIDEO 「ザ・マジックアワー」 「ステキな金縛り」は2011年邦画実写No.1を記録した法廷サスペンスコメディです。
オープニングはアニメーション、メインのセットはクラシックなすり鉢状の法廷。「幽霊が証人になる」というファンタジー作品のため、美術も全体に「つくり物」感を打ち出しています。
VIDEO 「ステキな金縛り」 種田陽平さんの美術は海外の監督からも高い評価を得ており、会場2階では海外での仕事も紹介されています。
クエンティン・タランティーノ監督の「Kill Bill vol.1」のクライマックスシーンである、料亭「青葉屋」。ユナ・サーマンの壮絶な立ち回りは、日本の伝統美をミックスしたような異様な空間で抜群に映えていました。タランティーノ監督も「種田陽平は一緒に仕事をするのがとても喜ばしい、偉大なアーティストの一人だ」とその力量を認めています。
VIDEO 「Kill Bill vol.1」 「一年中学園祭が続いているようなもの」(種田さん)という映画美術。その舞台裏に触れることができる楽しい展覧会です。種田さんと三谷さんのインタビューや「清須会議」キャストのコメントもある公式ガイドブックもおすすめ(1,714円+税)。会場で販売されています。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2013年10月11日 ]