多様性こそが最大の魅力 ─ 古代ギリシャ7000年の歴史
ギリシャ国内40カ所以上の国立博物館群から厳選された300件を超える貴重な作品が一堂に展示される、かつてない規模の展覧会が神戸市立博物館で開催中です。
紀元前6800年の新石器時代からローマ時代に至るまで、古代ギリシャ7000年の歴史を体感してみませんか。
以下に、興味深かった作品をご紹介していきます。
《スペドス型女性像》、紀元前2800年~紀元前2300年、クフォシニア群島出土か、キュクラデス博物館所蔵
「スペドス」とはこういった像が出土した墓地の名前で、抽象化された女性が表現されています。この作品は、20世紀のピカソやブランクーシにも影響を与えたと言われています。
《牛頭形リュトン》、紀元前1450年頃、クレタ島、ザクロス宮殿「神殿宝庫」出土、イラクリオン考古学博物館所蔵
実はこれ、お酒を入れるための壺です。頭頂部に孔が二つ、下顎の中央にも孔が一つ空いていて、顎からお酒が流れるようになっていたそうです。
《悲劇用仮面 巻き毛の若者》、紀元前50年~紀元後50年、エウボイア島の工房か、エウボイア島、カルキスの墓地出土、アテネ国立考古学博物館所蔵
ギリシャといえば、演劇が有名ですよね。こちらは実際に演劇で使われていた仮面です。
クラシック時代(紀元前5世紀~紀元前4世紀)のアテネでは、演劇コンクールが1年に2度ほど開催され、こうしたコンクールへの参加はアテネ市民にとって大きな名誉でした。皆、一生のうちに一回は劇の中で重要な役を演じたいと思っていたそうです。
(右から)《レスラー小像 征服者としてのプトレマイオス5世》、紀元前2世紀~紀元前1世紀、エジプト、アレクサンドリア出土か、アテネ国立考古学博物館所蔵 / 《円盤投げ小像》、紀元前500年頃、テバイ、カベイロイ神域出土、アテネ国立考古学博物館所蔵
紀元前8世紀にオリンピアのゼウス神域で4年に一度の競技祭(古代オリンピック)が始まりました。当初は短距離走だけでしたが、次第に競技科目が増え、全ギリシャから選手が集まる大競技祭に発展します。優勝者には葉冠とこの上ない名誉が与えられ、優勝選手をかたどった彫像は神域に奉納されました。
《エロスを表したディアデマ(冠)》、紀元前4世紀後半~紀元前3世紀前半、テッサロニキ、セデス、コツィアス墓地(C墓)出土、テッサロニキ考古学博物館所蔵
中央から少し右にそれたところにある小さな像は、両翼で両性具有の「エロス」を表現しています。この冠からは、マケドニアの卓越した金細工技術がうかがえます。。
次に展覧会会場をご紹介します。
こちらは第一章「古代ギリシャのはじまり」の展覧会風景です。
こちらは先ほどご紹介した演劇用の仮面が展示された、第五章「クラシック時代」の展示風景です。
大小様々な仮面がズラーッと並んでいます。
(左から)《アフロディテ像》、2~3世紀、アテネ、ヴァシリアス・ソフィアス通り出土、アテネ考古学監督局所蔵 / 《イルカに乗ったアフロディテ像》、紀元前2世紀~紀元前1世紀頃、タソス島、ポセイドン神域出土、タソス考古学博物館所蔵
こちらは第八章「ヘレニズムとローマ」の展示風景です。
ギリシャといえばこういった大理石彫刻をイメージされる方も多いのではないでしょうか。本展覧会では全部でおよそ60点もの大理石彫刻が展示されています。
東京では二回目となるオリンピックが2020年に開催されます。本年(2016年)は1896年にギリシャで近代オリンピックが開催されてちょうど120年という節目の年です。オリンピックの起源となったギリシャの歴史をこの機会にぜひご体感ください。
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胤森由梨
美術が大好きな大学院生です。将来は美術鑑賞に関わる仕事がしたいと思っています。現在、instagram「tanemo0417」「artgram1001」でもアート情報を発信中です!
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