ピエール・アレシンスキー《至る所から》1982 年 インク / アクリル絵具、キャンバスで裏打ちした紙 ベルギー王立美術館蔵 © Royal Museums of Fine Arts of Belgium, Brussels / photo: J. Geleyns - Ro scan © Pierre Alechinsky, 2016
90歳を迎える今なお、精力的に制作活動を続けているベルギーの画家、ピエール・アレシンスキー。
ピエール・アレシンスキー ©Adrien Iwanowski, 2009
日本・ベルギー友好150周年を記念して開催されている日本初の回顧展で、日本との意外なつながりも明らかにされます。
本の装丁や版画を学んでいたアレシンスキーは、芸術家集団コブラに参加し、その後の芸術活動に影響をもたらす経験を積みます。
筆で絵を描く彼は偶然、日本の前衛書道誌「墨美」をきっかけに書道家の森田子龍らと交流して大きな影響を受け、彼らを撮影した映画「日本の書」を制作。書道の世界に近づき、次第に書道のように床にキャンパスや紙を置いて制作するようになったとのこと。
ピエール・アレシンスキー ©Agnés Bonnot , 1986
さらに、墨やアクリル絵具、水彩などを用いて、日本や他国の文化を想起させる多様な作品を制作するようになりました。
こちらの作品は、書を思わせる表現です。
ピエール・アレシンスキー《夜》1952 年 油彩、キャンバス 大原美術館蔵 © Pierre Alechinsky, 2016
こちらは、日本のマンガやアメリカのコミックスのような表現。
ピエール・アレシンスキー《ボキャブラリーⅠ-Ⅷ》1986 年 アクリル絵具、キャンバスで裏打ちした紙 作家蔵 © Pierre Alechinsky, 2016
彼は、近年、話題を呼んでいる人気の江戸時代の画家、仙厓からもインスパイアされたそうで、どことなく飄々とした表現が似ているようでもあり、興味深いです。
文筆家でもあるアレシンスキーは、文字や言葉へのこだわり、思い入れをもっており、手紙・書類・帳簿など、使い古しの紙を再利用することで独自の表現も行っています。
ピエール・アレシンスキー《あなたの従僕》1980 年 水彩、郵便物(1829 年12 月17 日の消印) ベルギー王立美術館蔵 © Royal Museums of Fine Arts of Belgium, Brussels / photo: J. Geleyns - Ro scan © Pierre Alechinsky, 2016
他に見たことのない独自の世界観なのに、なぜか親しみを感じるのは、画家と日本との距離感が近いからでしょうか。
今なお新しい表現を模索して制作を続けているアレシンスキー。(日本の芸術家では草間彌生さんと同年代だそうです。)彼の情熱、筆の勢いを実際にご覧ください。
より深い理解のための関連イベントも用意されています。
講演会
2月18日(土)14時~
国立国際美術館館長 山梨俊夫
先着130名
当日10時から整理券配布
担当学芸員によるギャラリートーク
3月4日(土)14時~
先着90名(要観覧券)
当日13時半から聴講用ワイヤレス受信機貸し出し
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白川瑞穂
関西在住の会社員です。学生の頃から美術鑑賞が趣味で、関西を中心に、色々なジャンルのミュージアムに出かけています。観た展示を一般人目線でお伝えしていきます。
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