50年に一度だけ 優しい色調が織りなすピーターラビットの世界
「ピーターラビット」の作者、ビアトリクス・ポターの生誕150周年を記念して、国内過去最大規模の原画展がグランフロント大阪で開催中です。
「ピーターラビット」の生みの親、ビアトリクスは裕福な家庭で育ちました。彼女は、学校には行かず、代わりに家庭教師から様々なことを教わりました。その中でも、家庭教師のアニー・カーターとは大変仲が良く、彼女が結婚してからも交流は続きます。ある時、アニーの長男ノエルが小児麻痺にかかってしまったことを知ったビアトリクスは、ノエル宛てに絵手紙を送りました。この絵手紙がきっかけとなり、ビアトリクスは子供達を喜ばせるために名作を数々生み出しました。
こちらは、ビアトリクスがノエル少年に送った絵手紙の写しです。
ビアトリクス・ポター《ノエル少年への絵手紙の直筆写し》
ビアトリクスは自らが飼っていたピーター・パイパーという名前のウサギを主人公に4匹の子ウサギの物語を作りました。
こちらはノエル少年へ宛てた手紙をもとに作られた、『ピーター・ラビットのおはなし』の口絵です。
ビアトリクス・ポター《私家版『ピーター・ラビットのおはなし』口絵》
ピーター・ラビットのお母さんと言えば水色のドレスが印象的ですが、私家版では、水玉模様のドレス姿で描かれています。
ビアトリクス・ポター《『グロースターの仕立て屋』草稿》
展覧会では、実際にビアトリクスが描いた自筆原画も展示されています。ビアトリクスは、グロースターシャーに住む従兄弟を訪れた際に、従兄弟から聞いた物語をもとに、この作品を描いています。
ビアトリクス・ポター《『ずるいねこのおはなし』草稿》(部分)
ビアトリクスは自分で本を出版する以外にも、知り合いの子供にこうした絵本のプレゼントを頻繁にしていたそうです。
こちらの作品は、出版の話もありましたが、パノラマ版のため扱いが難しく、実際に出版されたのは60年後のことでした。
ビアトリクス・ポター《『セシリ・パセリのわらべうた』挿絵》
ビアトリクスは、英語圏の人であれば誰でも知っている『セシリ・パセリのわらべうた』をもとに、その世界観を大変愛らしい動物たちで表現しています。
こちらは展覧会風景です。ピーターラビットの世界に出てきそうな柵やオブジェによって、まるで自分も登場人物のひとりになったかのような気分で、動物たちの物語を楽しめます。
展覧会の一角にはこんな可愛らしい展示スペースもあります。
こちらの展示スペースは、なんとビアトリクスの部屋を再現し、壁紙には実際にビアトリクスの部屋にも使われていた、ウィリアム・モリスデザインの壁紙が貼られています。
こちらの展覧会で展示される、ビアトリクスのインク画や水彩画は劣化が早く、当展覧会が終わると今後50年は見られないそうです。
この貴重な機会に、ビアトリクスの描くピーターラビットの世界を満喫してみませんか?
エリアレポーターのご紹介
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胤森由梨
美術が大好きな大学院生です。将来は美術鑑賞に関わる仕事がしたいと思っています。現在、instagram「tanemo0417」「artgram1001」でもアート情報を発信中です!
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