横須賀美術館「デンマーク・デザイン」展
撮影・文 [エリアレポーター]
松田佳子 / 2017年5月4日
デンマークの工芸品といえば、ロイヤル・コペンハーゲンの陶磁器やジョージ・ジェンセンの銀製品などがおなじみですが、どちらにも共通しているのは、シンプルながら非常に洗練されたデザイン性であることでしょうか。
現在、横須賀美術館では、「デンマーク・デザイン」展(世界一幸福な国のかたち)が開催中です。
横須賀美術館
デンマークは、国連が発表する世界幸福度で常に上位にランキングされているそうです。
幸福に生活する人たちが日常を過ごす家具や調度品はどのようなものでしょうか。
この展覧会で出品されているものは、美術品や贅沢品はありません。
日常を豊かにするためには、使い心地の良いものや身近に置いてくつろげるものが必要なのではないでしょうか。
例えばロイヤル・コペンハーゲンの「ブルーフルーテッド」シリーズの食器は華美にならず、すっきりとしたデザインです。飽きることなく、長く愛用される大切な条件でしょう。デンマークデザインの基礎ともいわれるこれらは、日本や中国の磁器の影響を受けているとのことです。
アーノル・クローウ《記念プレート1888》1888年 ロイヤル コペンハーゲン 塩川コレクション
デンマークはこのほかにも、優れた工業デザイナーを抱える企業が多く、ハンス・ヴィーイナ(ウェグナー)、アーネ・ヤコプスン(アルネ・ヤコブセン)、フィン・ユールなどが活躍し、彼らが生み出した製品は国内外で高い評価を得ています。
上の椅子は、ハンス・ヴィーイナ(ウェグナー)がデザインしたものですが、この展覧会では自由に座ることができます。
体格の良いオランダの人たちに合わせたサイズで、小柄な日本人である私にはちょっと大きいように思えましたが、実際に座ってみると椅子が身体を包んでくれるような安らぎを感じました。デザインの美しさだけでなく、使い心地が良いからこその日用品と言えるでしょう。
ポウル・ヘニングスン、ペンダント・ランプ〈PHアーティーチョーク〉1957年 ルイスポールセン Photo Michael Whiteway
長い時間を過ごす住まいの中に、極められたデザインの調度品があるということは、それだけで心が豊かになるように思えます。
このようなデンマークデザインの中には、日々を幸福に過ごすヒントがあるのかもしれません。
今回の展覧会にちなんで、美術館1階に併設されているレストラン・アクアマーレではコラボ・メニューも用意されています。
お天気の良い日は、正面に海を臨めるテラス席はとても気持ちが良いです。
屋上は東京湾を遠く見渡せる絶景ポイントです。屋上から続く山の広場も自然がいっぱい。ぜひ、足を運んでみてください。
なお、本展は静岡市美術館(2017年9月9日~11月12日)に巡回します。
エリアレポーターのご紹介
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松田佳子
湘南在住の社会人です。子供の頃から亡き父のお供をして出かけた美術館は、私にとって日常のストレスをリセットしてくれる大切な場所です。展覧会を楽しくお伝えできたらと思います。
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