絵画に興味のない人でも知っている世界的名画といえば、レオナルド・ダ・ヴィンチの《モナ・リザ》と並んで、エドヴァルド・ムンクの《叫び》ではないでしょうか。
会場風景
道の途中で夕日に溶けてしまいそうな人物が、両耳を塞いで叫び声をあげているような衝撃的な作品。
多くの人がこのポーズをまねた経験がある事でしょう。
この有名な作品を描いたムンクは、どんな人生を歩み、その他にはどんな作品を遺したのでしょうか。
本展はムンク80年の生涯全般にわたっての包括的な展覧会です。
いずれも《病める子 Ⅰ》1896年
ムンクは少年時代に母と姉を相次いで病気で失い、自身も病弱だったといわれています。
作品の中に常に生と死が予感されるようなのは、このような体験が大きかったのではないでしょうか。
家族の臨終をテーマにした作品を多く制作しましたが、こちらの「病める子」のシリーズは特に、姉ソフィエの死が影響しているといわれます。
左から《森の吸血鬼》1916-1918年《吸血鬼》1916-1918年
ムンクは同じテーマを繰り返し制作することでも知られています。
本展でも《接吻》《吸血鬼》《マドンナ》などのテーマ作品が見られます。
同じテーマでも、油彩画、木版画、リトグラフなどの制作方法が異なっていたり、同じリトグラフの作品でも色や描かれ方が微妙に異なっていたりします。
ムンクにとっては何作描いても到達しきれないほど、そのテーマを深く追及していたのではないでしょうか。
左から《マラーの死》1907年 《クピドとプシュケ》1907年
ムンクの作品には、苦しみを抱える男女の恋愛の姿を描いたものが多くあるように感じます。
そのほとばしるような感情が大胆な荒々しいタッチとなって、私たちの心に直接飛び込んでくるかのようです。
《叫び》1910年?
本展の話題作品である《叫び》は、思ったよりも小さかったこと、厚紙に油彩とテンペラで描かれていることに驚きました。
この有名な作品を日本に居ながら見ることができるのは本当に贅沢なことです。
隣にある《絶望》もまた同じ構図で描かれています。
まるで対をなしているような2作品を並べて見られることにもご注目ください。
《すすり泣く裸婦》1913-1914年
幼いころから死が身近にあり、恋愛や対人関係にも悩みを抱えていたムンクの作品に心を動かされる人が多いのは、人が生きていく中で普遍的に感じる苦悩や不安に共鳴するものがあるからかもしれません。
《叫び》はもちろん一生に一度見ておきたい作品ですが、それ以外にも見どころの多い本展をゆっくり味わってみてはいかがでしょうか。
オリジナル・グッズ
また、今回のオリジナル・グッズは、ビームスや湖池屋、さらにポケモンとのコラボ商品が大注目です。
こんなに多くのコラボ商品が生まれるほど《叫び》はインパクトの大きい作品だということかもしれませんね。
※グッズは数量限定のため、売り切れの場合があります。
会場 | 東京都美術館 |
開催期間 | 2018年10月27日(土)~2019年1月20日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし、11/26、12/10、12/24、1/14は開室)、12/25、12/31、1/1、1/15 |
開館時間 | 9:30~17:30、金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで) |
所在地 | 東京都台東区上野公園8-36 |
03-5777-8600(ハローダイヤル) |
HP : https://munch2018.jp |
料金 | 一般 1,600円、大学生・専門学校生 1,300円、高校生 800円、65歳以上 1,000円 ※各種割引情報は「展覧会詳細へ」をご確認ください。 |
展覧会詳細へ |
「ムンク展 ― 共鳴する魂の叫び」 詳細情報 |
エリアレポーターのご紹介
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松田佳子
湘南在住の社会人です。子供の頃から亡き父のお供をして出かけた美術館は、私にとって日常のストレスをリセットしてくれる大切な場所です。展覧会を楽しくお伝えできたらと思います。
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